第五十二話 目的

 「……っく……」

 あたしが目を覚ますと、そこにはレンとおりんと、そのほか数名とともに、どこかの客間にいた。
だいぶ長く人間界に住んでいるが、ここは来たことがない。

 「だから、あたしはおりんを助けに行こうと思って、レンを見送った後荒れ屋敷に戻ったんだけど、なんだかそっからおぼえていないんだっ……って聞いてる!? どこ見てんのよレン!!」

 「ああ、ごめん。ぐみ……おとてが目を覚ましたようだから……」

 今熱弁していたおなごは『ぐみ』というそうだ。

 「れん……あたしは、一体……」


 急いで身体を起こそうとしたが、強烈な痛みが走った。
どこが、というより体中が咲かれるように痛い。

 着物にはそこらじゅうに血が付いているし、これはあたしの血か。




 「だめだよ、おとて。なんてったって、おりんさんにあれだけやられりゃあ、ねえ……」




 れんはそう言って、おりんの方を見てくすくす笑った。
その様子を見ておりんは顔を真っ赤にし、目に涙をためて俯いた。
そしてれんは、ぐみにぺしりと頭を叩かれた。

 なんとも微笑ましい光景だが、なぜか皆の笑顔の裏には何かがあるような気がした。

 でもそれは訊けなかった。
すこし、皆に後ろにいてまだ眠っている、桃色の髪のおなごが気になるけれど。


 「それで……おとて。すこし、話してくれないかい。お前さんのことを……」


 れんからの提案。
もちろん、おとてがはなしてくれるならだけれど、と付け足した。


 「否。俺は話してもらわなきゃあ困るね」

 「かいと……お前」

 「いいか、まだ謎が多すぎるんだ。この俺も何がどうなってこんなことになっちまったのかは、さっぱりだ。だからおとてにできる限りのことは話してもらわなきゃ困るんだよ」


 かいとと呼ばれたその男は、私にまっすぐな目で言った。


 わかっている。




 全ての元凶、あたしのことを話さなければ、何も解決しないと。







 「おとてさん? いやなら話さなくたってい」

 「わかりました」


 れんの声をさえぎって、あたしは言った。








 「色々ありますが……少しずつ話していきます……」













 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

ノンブラッディ

あれ?
おとて過去編なんて書く予定なかったよ??

閲覧数:96

投稿日:2013/04/02 13:44:01

文字数:956文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

  • 関連動画0

  • ハル

    ハル

    ご意見・ご感想

    血まみれの君達に血をあげよう!(え
    余計なお世話ですね(`・ω・´) 50話今更ですがおめでとうございます!って行ってらんないですね、100話までいきそうな予感
    おとての過去編くるか?

    2013/04/05 00:09:57

    • イズミ草

      イズミ草

      あ、ありがとうございます!
      前にも書いたような気がするんですが、まさかこんな長く続くとは思ってませんでした(笑)
      100話……
      遠いような、近いような……。

      2013/04/05 08:55:50

  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    こうして、最終話は遠ざかったのだったww

    というか、そんな赤面程度のことなのか!?
    血まみれなのに?!ww

    2013/04/02 19:21:27

    • イズミ草

      イズミ草

      あ、それはですね……顔とかは少し拭いてるので
      血まみれ血みどろと言うわけではないです。
      しかし、赤面程度で済むのは、色々ありすぎてみんな感覚がマヒしてしまっているんでしょうねえ……

      2013/04/02 20:31:41

オススメ作品

クリップボードにコピーしました