彼岸彼岸に 咲いた花よ
私の願い 届けておくれ
たとえ面影を 隔つとも
心隔つこと なかりけり
うつろい流れる 白き雲
形をとどめる ことはなく
時の流れは 無情にも
私の記憶を 奪い去る
静かに佇む その姿
深紅に染まりて 凛と咲く
花弁の王冠 哀しげに
誰かを想いて 風に薙ぐ
彼岸彼岸に 咲いた花よ
私の願い 届けておくれ
淡く微笑む 彼の顔が
雨月の空に 滲まぬように
見上げし空には 鰯雲
惑わず飛び交う 赤秋津
遥か東の 空の涯
茜に染まりて 暮れてゆく
野分に乱れし 秋の花
舞い散る花弁は 何処へと
沙羅双樹の色 鮮やかに
過ぎ行く旅路を 彩らん
秋の田の
穂向きの寄れる
片寄りに
君に寄りなな言
痛くありとも
永久に
更待月夜の 静けさに
虫時雨の声 響きゆく
秋霖にけぶる 東雲に
衣の袖も 湿りける
彼岸彼岸に 咲いた花よ
私の願い 届けておくれ
たとえ面影を 隔つとも
心隔つこと なかりけり
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