溢れ始めた僕の本に向けられる視線
耐えかねて始めた本棚の整理

日に焼けた背表紙 黄ばみはじめたページ
時の流れを留めるような独特の匂い

捨てられない数々の思い出を
どう収めよう?
悩み本棚に向かう僕

片付ける為に本棚へ向かったのか
散らかす為に向かったのか
判断のつかない状況の出来上がり

四苦八苦している僕の手に
ひときわ大きなサイズの画集

懐かしさに思わず開くと
一枚の似顔絵が挟んである

世界中の全ての物語集めても
この似顔絵にはかなわない

たった一枚だけどそこには
沢山の僕と君との物語隠れてる

写真が苦手な君と君の写真欲しかった僕
最後は僕ら喧嘩になりそうになって

じゃあ似顔絵は?

苦し紛れに言ってみた僕に
君は しょうがないわね って
写真は駄目だけど似顔絵なら我慢するわ
そう言って笑ってくれた

緊張してる時の怒ったような困ったような
表情の君がこっちを見てる

どうやって持ち歩こうか考えて
買った大きな画集

これでいつでも君が見れると僕は大満足
君はそんな僕にあきれたような微笑み返してた

ずっと持ち歩いてた画集はページの端が
ぼろぼろだし
似顔絵はもう色あせてしまってるけど
僕らの物語はまだ続いてる

「やっぱり片付いてない」
ちょっと怒った君の声
散らかしたままの本棚と僕を見比べあきれてる

毎日くるくる変わる表情見せる君と
今はずっと隣にいる僕

そっと似顔絵画集にもどして

いまから片付けるんだと笑ってみせた

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

僕の古本と君の似顔絵

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投稿日:2008/04/05 05:58:52

文字数:675文字

カテゴリ:その他

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