1.4行を意識する
 
 Aメロ、Bメロ、サビは、それぞれ8小節や16小節になることが多いです。
 各パートの歌詞を4行で書くと、1行あたり2小節(4小節)を割り振ればいいので、
 メロディーが考えやすくなります。

 自分の場合、3行の歌詞にメロディーつけるのは苦手です。

【例】『レインリリー』 http://piapro.jp/t/1Ptr
 A-A'-B-サビ構成で、全部4行で書いてます。

【例】『ぎんねこ“にぼし”のうた』 http://piapro.jp/t/TZe4
 Aメロとサビが4行。
 Bメロは2行ですが、1行目前半、後半、2行目前半、後半の4行とも考えることができます。

2.「切れ目」をそろえる

 1番と2番の歌詞の音数は、基本同じにします。
 このとき注意するのは、音数だけでなく切れ目も同じにすること。

 1番が「4・8」で、2番が「5・7」だと、
 同じ12音でも途中でメロディーを切りずらくなるので、
 1番で作ったメロディーが2番にあわない、ということが起こり曲がつけにくくなります。

【例】『きおくのあしあと』 http://piapro.jp/t/mxgn

 1番のAメロは

 ・とぎれた そらのがいとう(4・7)
 ・なやむめいろ たのしい(6・4)
 ・なくした おとをさがして(4・7)
 ・あてもなく たびをする(5・5)

 です。
 これに合わせて、2番も「4・7、6・4、4・7、5・5」で書いています。

 ・にじんだ ゆめのかいろう(4・7)
 ・さまようもの たましい(6・4)
 ・きえない おもいかなしみ(4・7)
 ・せおっては まちがえる(5・5)

3.行ごとの音数もそろえる

 4行で歌詞を書いたとき、1、2、3行目は似たようなメロディーになることが多いです。
 なので、
 ・1行目と3行目
 ・1行目と2行目
 のどちらか(できれば全部!)の音数を揃えておくと、格段に曲がつけやすくなります。

【例】『やさしさのれんさ』  http://piapro.jp/t/SQdc
 Aメロ1、3行目は3・6に、サビ1、2行目は4・4・4に揃えています。

4.ジャンルによって音数を増やす/減らす

 1曲は4~5分の曲がほとんどなので、
 アップテンポな曲では、音数が多くなり、
 ゆっくりとしたバラードでは、音数が少なくなります。
 自分の場合「こんな感じの曲を作ってほしい」という参考曲を探して、
 同じ位の音数で書くようにしています。

5.音数を調整できるようにしておく

 行の末尾を、助詞(~に、~を)にしておくと、助詞を1文字削って音を1音減らすことができます。
 
【例】
 ・待ち合わせ(て) 路面電車に乗ったら
 ・ひまわりのような笑顔(に) 惹かれていって
 ・さよ(う)なら 打ち明けよう
 ・キミに会えない遠い街(へ) 行くことになったから
  ()内を削っても意味が通じる

 ・午前9時(午前10時) 時計台の前で
 ・好きの気持ちとともに(好きの気持ちと一緒に)
  置き換えると1音増える

6.たくさん単語を書き出す

 最初から歌詞を書こうとするとうまくいきません。
 そこで、とにかく「単語」をたくさん書き出して、それからまとめるようにしています。

【例】『はるかみらい』 http://piapro.jp/t/IHKf

 8行の歌詞の下に、今回思いついた単語を全部残しました。
 たった8行の歌詞を書くだけでもこれだけ書いてます。

7.同じ単語を使わない

 初期の拙作がこんな感じでした。

 Aメロ
 ・はばたく キミの翼

 Bメロ
 ・その白い翼で 飛べるはず

 サビ
 ・どこまでも 翼広げて

 何回「翼」使えば気がすむんだよ!?
 このように同じ単語を使いすぎると、Aメロ、Bメロ、サビが似通ってしまい、
 変化がなくなってしまうので、
 少なくとも1コーラス(1番)では同じ単語を使わないようにしています。

【例】『レインリリー』 http://piapro.jp/t/1Ptr
 「雨」という単語はサビの2回しか出てきません。
 (「レイン」は何回も使ってますが)
 「朝露」「しずく」など似た単語を使って関連性を持たせてます。

8.反対語・対義語を使う

 反対語・対義語を使うと、歌詞に関連性を持たせられるうえ、変化がつけられるので便利です。
 サビの前半と後半や、1番と2番の同じ箇所で対比させるとより効果的です。

【例】
 ・「朝」と「夜」
 ・「太陽」と「月」
 ・「大地」と「空」
 ・「生きる」と「死ぬ」
 ・「冷たい」と「あたたかい」
 ・「甘い」と「苦い」

9.推敲する

 歌詞が書きあがっても、最低一晩は置いて読み返すようにしています。
 書いてるときは気づかなかった「この言い回し変だな」という違和感を感じたら、とにかく直します。
 推敲でやることは、

 ・矛盾点の解消
  たとえば「夕焼け」と「雪が降る」は、雪が降ってると曇って夕焼けが見えなくなるので矛盾します。
 ・同じような単語で置き換える
  ・「きらめく」→「かがやく」と置き換える
 ・順序入れ替え
  前後を交換したり、1番と2番の部分的に歌詞を入れ替えると、全体の意味が通ることがあります。

【例】『夢の花咲く場所で』 http://piapro.jp/t/zDpi

 「<<前のバージョン」に、推敲過程が全部残ってます。

 ・「受け入れて 無駄にはならないよ」→「何ひとつ 無駄にはならないさ」
 ・「襲いかかるもの」→「立ちはだかるもの」
 ・「抜け出せる日は いつかやって来るから」→「抜け出せるときは 必ずやって来るから」
 ・「失敗なんて やり直せばいいから」→ 「失敗したって やり直せる何度でも」
 というように別の表現がないか何度も書き直してます。

【例】『サムシング・フォー』

 ・「ブルーの花束を 空にあずけて」→「花束のブルーを 空にあずけて」
  前後を入れ替えて、空のブルーが連想できるように修正

10.末尾と先頭の意味がつながるようにする

 歌詞の表記上では改行していても、
 曲を聴いてくれる人が、歌詞カードを見てくれるとは限りません。
 間奏などの長い休みを挟まない限り、言葉の意味がつながって聞こえてしまう場合があります。
 各パートの最後と次のパートの最初の言葉だけを抜き出したときに、
意味が通るか、変な意味にならないか気をつけています。

【例1】『エターナルガーデン』
 Bメロの最後が、
 ・めぐり会えるのならば 伝えたい
 サビのはじめが
 ・お願いは forever 本音を言えば
 として、「伝えたいお願いは」とつながるようにしています。

【例2】『レインリリー』
 サビ2行目と3行目の間は
 ・「花みたいに制御できない」
 ・「踊るように支配されてく」
 ・「虹のように消え去ってゆく」
 と、ここだけ抜き出しても意味が通るようにしています。

11.母音を意識する

 ・「あ」「お」は発音しやすい
 ・「い」は、発音はきれいだが伸ばしにくい
 ・「え」は、舌を突き出すので発音しにくい
 ・「う」は口が小さく聞こえにくい
 ・「ん」は口を閉じるので音がこもってしまう

12.5行目にインパクトフレーズを加える

 4行で書くとか言いましたが、5行目が入るとインパクトを出すことができます。
 サビや、サビ前のBメロで使うと効果的ですが、
 下手にやりすぎると間延びしてしまうので注意。

【例】『セルフィーユ』 http://piapro.jp/t/1nht
 サビの5行目に「I & myself & you」というフレーズを足してラストを浮きだたせています。

13.同じフレーズを繰り返す

 7.と反してるようですが、同じメロディーや似たようなメロディーの場合、
 あえて同じフレーズを繰り返して、インパクトを出す方法があります。
 サビで使うと効果的ですが、やりすぎると「くどく」なるので注意。

【例】 『この空の下で ~待ってるからね~』 http://piapro.jp/t/0IxM

 「まだまだまだ」と3回繰り返してます。

14.促音

 促音とは、小さな「っ」の音のことです。

 メリット
 ・力強さ、元気さがでる
 デメリット
 ・音が止まってしまう

【例】『ひだまり妖精おひさまサニエル』

 ・Aメロで「ずっと」「ぎゅっと」「そっと」と繰り返して元気な感じを出してます。

15.韻を踏む

 ・「叶える」「歌える」というように、語尾を揃える
 ・母音を共通にする

【例】『レインリリー』
 ・消え去ってゆく 傷などないけど
 ・制御できない きずなをたどって 
 「きずな」の3音が同じ

【例】 『Jewel Craft』
 ・素直になれないままで
 ・砂の城は 崩れ去る
 「素直」と「砂の」が似てる音

【例】『きおくのあしあと』
 ・きおくのあしあと
 ・きのうもあしたも
  母音が全部同じ

 韻を調べるツール
 ・とことんワードサーチ
  http://sb01.org/moji/search.cgi
  「??える」で検索すると末尾に「える」のつく4文字の言葉が全部出てくる
 ・作詞支援ツール
  http://kujirahand.com/web-tools/Words.php 
  「はるか」と「さくら」のように、母音が同じ言葉が検索できる

16.ダブルミーニング

 「いえない」を「癒えない」と「言えない」とするように
 同じ音に2重3重の意味を持たせる高等テクニックです。
 意味で漢字が異なる場合は、ひらがな表記推奨です。

【例】『ふわふわWind』
・パタパタと 空あおいで
 「扇ぐ」と「仰ぐ」(見上げる)の意味

【例】『セルフィーユ』
 ・I & myself & you
 ・あいまいセルフィーユ
 表記は違うけど音がほとんど同じ

17.文法崩し

【例】『ぎんねこ“にぼし”のうた』
 ・どこまで? 遠くまで 歩いてゆけたら
 「どこまでも 遠くまで」が正しいのですが、「まで」で語尾をそろえるため崩してます。
 ・ねこも棒に当たって いいコトありそう!
 ・ねこにも衣装なんて そんなことないさ
 本来は「犬も棒にあたる」「馬子にも衣装」ですが、猫がテーマなので崩してます。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

名状しがたい作詞講座のようなもの

閲覧数:1,557

投稿日:2013/11/29 05:26:23

文字数:4,355文字

カテゴリ:その他

ブクマつながり

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