あの時の私は幼すぎた。
自分のことばかりで、周りなどちっとも見えていなくて
君のこともきっと、よく見えていなかったのだろう。

だからこそ、今になって分かる。

私は君に恋をしていた。
それはどこにでもあるような、きっと普通の恋。
恋愛小説に出来るようなドラマチックなものでも、
歌に出来るような素敵なものでもない、普通の恋。

いつの間にか芽生え、
いつの間にか消えていった感情。

私の日記に君の名前がなくなってしまったのは、
一体いつからだっただろうか。






雨が降り出したのは、丁度電話が切れた直後だった。

天気予報では降水確率は0%だったのに……。

とりあえず近くのチェーン店カフェへと入る。
少し雨に降られて、髪や洋服がしっとりと濡れていた。

ホットコーヒーを頼んでカウンター席に着いた。


突然の報告と雨に、少しだけ頭が混乱する。
ホットコーヒーを一口啜って、整理する。



彼が、結婚した。



彼女は電話口で確かにそう話していた。
その衝撃で、そのあとの話が若干霞んでいる。

結婚したのもそれなりに衝撃を受けたが、
私が一番ショックだったのは「そのこと」を
彼本人ではなく、友人から聞いたことだった。


何故、私には言わなかったのだろう。


思考が停止しそうになるのを、私は
もう一度コーヒーを飲み無理矢理止めた。

ここで考えるのをやめたら、
色々と込み上げてきそうだったから。


挙式、いつだと言っていたっけ?
12月、だったような気がする。
そうだ、それでサプライズでムービーを作ろうって
そんな話が出ていたんだった。


ふと、あの頃の記憶が甦る。

12月の終わり、私と彼が初めて話したのは
丁度それくらいだったような気がする。

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good-bye diary Page:2

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投稿日:2014/12/08 01:26:23

文字数:742文字

カテゴリ:小説

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