「まーったく!おつかい係じゃないっての…!」
お弁当忘れるとかうっかり過ぎだと思うんだよね…たまたま創立記念日で休みだからって忘れ物を届けに来させられた。何て言うか冴えないなぁ…。
「ヤクル?!」
「えっ?!えっ?!な、何?!誰?!」
真っ赤な髪のお兄さん?何で僕の名前知って…まさか…ストーカー?!変質者?!それともこの前ゲーセンで悪戯したヤンキーの仲間とか?!ピンチ?!
「逃げるが勝ち!」
「あ、ちょっ?!おいコラ!待て!」
何で追い駆けて来るんだよぉ!何かした?!でもこんな真っ赤な髪のお兄さん知らないし…!
「こら待てって!ヤクル!」
「ぎゃー!!誘拐犯――!!犯罪者!!ヤクルちゃんは美味しくなぁーい!!」
「違うっての!痛ッ…!暴れんな!ほらこれ持て!」
「銃刀法いはーん!!痛ーっ!!」
拳骨を喰らって無理矢理手に銃を渡された。
「何これ…?こんなの知らな…。」
氷で出来たみたいな銃を見詰めた瞬間、目の前に花火みたいなパチパチした光が見えた。途端に叩かれるみたいな痛みが走って気持ち悪くなった。何…?一体何…?恐い!頭が破裂しそう!
『嫌…!起きて…!純!純―――!!』
『お姉ちゃんはやっぱり流船が好きなの?』
『ゼロ…さん…?ゼロさんは…?ねぇ…何処に行ったの…私の…王子様は…?ねぇ…!』
『どうしたって中途半端でしかないんだな…信じてたのに…。』
『どうしてこんな…!レイに何をした!』
『あの子は命懸けでゼロさんの事守ったのに!何であんたは出来ないのよ!』
『無理だよ…!僕…そんなの出来ないよ!』
『お前が助けてやれないなら!俺がこの手で姉さんを助ける!例え誰を犠牲にしてもな!』
「う…ぁ…!あ…ああっ…!!」
「ヤクル?…おいヤクル?!」
『…そうやってまた逃げるのね…この世界でも…。』
「うわぁぁあああああああああああああああ!!!!」
頭の中で何かが爆発しそうだった。そうだ…僕は逃げ出した…目の前の事態から何度も何度も何度も何度も…力が恐くて、失敗が恐くて、責められるのが恐くて手を触れるのが恐くて本音を言うのが怖くて嫌われるのが恐くて何もかもが恐くて…。
「ヤクル…ヤクル…!大丈夫か?!ヤクル!!」
「ごめん…なさい…。」
「え…?」
止められなかった…目を逸らして、背を向けて、聞こえないフリをして、僕が逃げたから、守れなかった…助けられなかった…消してしまった…僕があの人を止めなきゃならなかったのに!
「僕…が…流船を消しちゃったんだ…。僕が…逃げたりしたから…!」
「ヤクル…。」
「ごめ…なさい…!ごめんなさい…!」
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