「えっと、私の…心…アンロック…だったっけ」
『もっと大きな声で言わないと!あとちゃんと胸のあたりで指を四角にして回転させながら』
『わかってるよ!ったく…』
俺は胸のあたりで指で四角を作る。これが一体何の意味があるんだ。まぁヒーローの変身セリフもモーションも特に深い意味なんてなくてカッコ良かったりすりゃあそれでいいんだけどね。改めて考えると本当に恥ずかしい事を平気でやるよなぁ、ヒーローって。
今度は四角を作ってそれを回転させながら、
「私の心、アンロック…」
しーん。
「んんん?」
『おい、壊れてるんじゃねーの?』
『声が小さいんだよ…』
『声が小さいとか体育会系かよ。小さくてもちゃんと相手に聞こえたらそれでいいんだよ。大きけりゃいいってわけじゃねーじゃん』
『もうちょっと大きな声にしないとシステムが反応しないんだ。ふひひ』
「はぁ…」
「ん?誰かいる?」
俺は身体が一気に硬直するのが自分でも解った。やべぇ。外に人がいる。男子トイレだから男が入ってくるわけだ。そこで女が私の心がどうとかメンヘラー丸出しのセリフをブツブツ言ってるわけだ。反応しないわけがない。
「え?どしたの?」「いやなんかさ、女の声が聞こえた」「え?マジで?俺トイレ間違え、てないか。小便器があるしな」「間違えてるのはその女のほうだろ」「だよな」「おーいお嬢さん、ここは男子トイレですよ?」
うるせーよ!わかってるよ!俺は姿は女だけど中身男だから間違ってトイレに入っちゃったんだよ!それぐらい悟れよ馬鹿!
俺は無言でその場をやり過ごす事に…。
「こんこんこん、お嬢さん~ここは男子トイレだよ~」
しつこい!!!
「痴漢じゃねーの?」
痴漢はてめーらだろうが!
「痴女か!やっべぇ!興奮してきたぞ」
「開けようぜ!全裸かもしれねーし!」
やべぇ!全裸だよ!俺。
男2名はトイレの扉をガチャガチャと開こうとする。でも鍵が閉まっていて開かない(もちろんか)のを知ってか、今度はジャンプして上から覗いてやろうとしてきやがる。やばい…。キミカ始まって以来のピンチだぞ!!!!この野郎どもマジでブッ殺したい。まだ戦車のほうがまともな敵じゃねーか!!
「みえた?」「だめ、たわねぇ。ちょっとお前肩車して」
うおおおおおお!やめろおおおおお!
もうこうなったら…。
「私の心、アンロック!!!!」
俺は言われたとおりに胸の前で指で作った四角を回転させながらセリフを叫んだ。一瞬、その指の四角の中に黒いものが、まるでそれは光を全て吸収するかのような、完全な漆黒の球体が現れたんだ。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

2 キミカ出動 4

http://d.hatena.ne.jp/ciima/ なんか外、雨がめっちゃ降ってる

もっと見る

閲覧数:28

投稿日:2011/08/22 23:13:46

文字数:1,072文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました