#「しるると清花の協力」



かなりあ荘には幽霊が住んでいる

およそ100年前、呉服屋の娘として生まれ、当時の死の病である結核によって14歳という短い生涯を終えた女の子

名を清花(きよか)という


そのかなりあ荘のしるるの自室前……


「清花ちゃーん」


私は幽霊が見えるアイテムである星型のイヤリングこと、シルルスコープ(SS)をつけて、かなりあ荘のどこかにいる清花ちゃんを大声で呼ぶ


「はい。なんですか?」


ふっと、私のすぐ横に現れた清花ちゃん


「きゃああああああ!!」


あまりにいきなりなので驚く……ここまでテンプレ




現状、かなりあ荘のみんなが最初に手に入れることができるSSは、依然しるる使っていた試作3号型の電池持ちをよくしたプロダクションモデル、つまり量産型

これは広い範囲で清花ちゃんを【見える】ようになるもの

そして、今のしるるのSSは試作4号型

ネルちゃん命名、「シルルスコープ・スターダスト」という大層な名前がついているが、私にとって、SSはSSでしかない

これはなんと、清花ちゃんに【触れること】が出来る!

しかし、それの代償として、手の届く範囲でしか清花ちゃんが見えなくなった


最近、これをさらに改良した「スターシルルスコープ」という、なんか無敵になりそうな名前のSSをネルちゃんがつくった

こちらは試作4号型の欠点、可視範囲を量産型の時と同等以上にした画期的なもの

現在、これを持っているのは、ネルちゃん本人だけ

この前、「しるるさんの分もつくってもらいましょうか?」とターンドッグさんに聞かれたが、私は断った


だって、私は今のSSを不便と思っていないから

むしろ、これだからこそ、私と話すとき、清花ちゃんは私の手の届く範囲に常にいてくれる

もう、なで放題、つっつき放題、抱きしめ放題なのだ、最高ではないか!




まぁ、どうやら、ネルちゃんは私のために最新型を作ってくれたみたいで、私が断ったら、すごくしゅんとしていたらしい

さすがに悪いなと思い、今回、清花ちゃんと、一つ、策を講じてみることにした


しるるの自室


「しるるさん、違います。こっちは、こう!です」

「ええ?こう?」

「違います……こう!」


私は清花ちゃんに教えを乞いながら、あるものをつくっていた


「あ!こうね!」

「だから、違いますって……しるるさん、本当に不器用ですね?」


清花ちゃんは苦笑いしていた


「むぅ……あ、私、いまちょっと女の子成分が足りなーい、わー」


私はつくっていたものをその場において、清花ちゃんに飛びつく


「きゃああああ」


いきなり抱き着かれた清花ちゃんは、何もできずに後ろに倒れる


……今、誰かが部屋に入ってきたら、私が清花ちゃんを押し倒した状態

清花ちゃんは、100年以上存在してきたが、歳は14歳から進んでいない

さすがに大人に押し倒されて怖いのか、泣きそうになる


「ああ……ごめんねー。よしよし」


私は慌てて清香ちゃんを起こして頭をなでる


「……もう知らないっ!」


ぷいっとそっぽを向いてしまった清花ちゃん

でも、私から離れようとしない

少し離れれば、私には清花ちゃんがどこにいるかわからないのに

毎回のように私に抱き着かれて、毎回のように迷惑そうにしているのに、それでも呼べば、すぐに来てくれる清花ちゃん

私が彼女を怖がった時だって、最後には許してくれた

彼女は、本当に健気でいい子だと、私は思う


私は作業に戻る


「あ、あれ?こうやって……あれ?」


私が悪戦苦闘していると


「もう!それじゃ、穴空いちゃうじゃないですか!」


そういって、「知らない」といったはずの清花ちゃんが助けてくれた

ほら、いい子












その日の夜、ネルちゃんをどっぐちゃん経由で自室に呼んだ

私の部屋には、私とネルちゃんと、清花ちゃん


「しるるさん、なに?新しい依頼とか?」


ネルちゃんには、かなりあ荘の改築、修繕の際も発注している

今回もそんな感じだと思っているらしい


「ううん、今日はネルちゃんに謝ろうとおもって」


ネルちゃんは「?」と首をかしげた


「あ、あと、清花ちゃんもいるんだよ、SSつかって?」


私がそういうとネルちゃんは最新型のSSを自分でつかった

すると、ネルちゃんの視界に、私のよこにちょこんといる清花ちゃんがうつる


「こんばんは」

「こ、こんばんは……」


清花ちゃんのニコリと笑う笑顔、ネルちゃんはまだよく理解できない

なので、私が話す


「そのSS、私のために作ってくれたんでしょう?ごめんね、断っちゃって……」

「え?……あ、いや、これは、あたし自身の限界に挑戦しただけで……」


これが世にいうツンデレなのかな?と思った


「でも、私がいまのSSのままでいいっていったら落ち込んだって、ターンドッグさんが……」

「え?!/// え、えと、あ、あいつ!」


顔を真っ赤にして、拳を握りしめ二階のターンドッグさんの部屋の方を睨むネルちゃん


「でね、傷つけちゃったお詫びに……はい、私からプレゼント!」


そういって、私は自分の背後から、すっと黄色い花柄の巾着袋を差し出す


「……これ、あたしに?」

「うん!あげるー。私、頑張って作ったんだよ……清花様のお力をだいぶお借りして!」


私の隣で清花ちゃんが自慢げに笑った

清花ちゃんはもともと呉服屋の娘、裁縫が大得意


「え、あ、ありがとう……」


ネルちゃんは受け取った巾着袋をみて、ぼーっとしていた


「あ、あれ?うれしくない?やっぱり、下手だから?ご、ごめんね?ドライバーとかの方がよかった?」


私はおろおろとする


「いや、違うくて……私、いつも誰かに物つくってあげる側だったから、こういうことって、あまり経験なくて……うれしいよ、ありがとう、しるるさん、清花」

「いやぁ、照れるなぁ……えへへー」


私がネルちゃんを見てデレデレしていると、隣で清花ちゃんが


「しるるさん……顔がとろけてますよ?」


呆れたようにいったのだった

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【かなりあ荘】しるると清花の協力

かなりあ荘も初期メンバーだけじゃないので、清花ちゃん、SSの設定をおさらいしながら書きました
結果、長くなりました
清花ちゃんの生前エピソードは、まだ初期の方にあります
清花ちゃん、かわいいですw
ちなみに清花ちゃんと命名したのは、ゆるりーさんです

最新型SSはしるるのためにつくったと、しるるは思っていますが……
実はネルちゃんは、私のために最新型をつくったわけじゃないです
つまり、しるるさんの勘違いです
本当に自分の限界に挑戦したのと、むしろ清花ちゃんのためにつくったやつです
前のターンドッグさんのやつを見ればわかる←

確か、ネルちゃんが物をもらったのは、ターンドッグさんの本編でレン君にもらった1回かなと思ってる

あと、清花ちゃんかわいいです

閲覧数:141

投稿日:2014/03/19 00:26:40

文字数:2,588文字

カテゴリ:小説

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    ねぇしるるさん、
    なんかさっきからネルちゃんが顏真っ赤にして特大の金槌で殴ってくるんだけど心当たりない?←

    レンからなんかもらったことあったかな………?
    あ、笑顔ならよくもらってるな!←
    あとしるるさんが安定過ぎてw
    あなた方見てるとほっこりするわぁ。

    ちびボカロの前にどっぐちゃんフィギュアでも買ってってどっぐちゃんも絡めてイチャイチャしてくださいよほのぼのするからw

    2014/03/19 12:05:07

    • しるる

      しるる

      え?知らなーい

      あれ?なかったかな?
      なんか私のイメージだと、箱的なものをもらってたイメージ……気のせいか?
      じゃ、ネルちゃんに初めてプレゼントをあげたのは私ってことで!
      きゃ//ネルちゃんの初めて……もらっちゃった///

      今の私はちびボカロ一直線なのです!
      ……つかさくんや、イズミさん、ちずさんあたりに誘惑されたら、そっちに寄り道します←

      2014/03/19 19:00:37

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