帰り道
足元のタイルの隙間に一本の
錆びたヘアピンが落ちてたの
なんでもないことのはずなのに
なんでかぎゅっと胸が痛くなったの
このヘアピンの持ち主は
落としたことに気付いてるのかな
少しくらい探してみたりしたのかな
私にも小さいけど居場所はあったの
でもきっともう、私は忘れられちゃったの
私はこのまんま
いなくなったことにも気付かれないで
雨に打たれて錆びてくヘアピンみたいになっちゃうのかな
帰り道
足元のタイルの隙間に落ちていた
錆びたヘアピンが忘れられないの
なんでもないことだったはずなのに
なんでかずっと胸が痛いの
あのピンはどんな気持ちで
持ち主の髪をとめてたのかな
でももう別なピンがとめてるんだよね
私にも小さいけど役目があったの
でもその役目、いくらでも代わりがいたの
私はこのまんま
誰からも必要とされないで
雨に打たれて錆びてくヘアピンみたいになっちゃうんだね
今私に居場所はなくて
今私に役目はなくて
いなくなったことを悲しむような人はいなくて
いなくなった穴はすぐに埋められるもので
ごめんね、私、
今まで何個ヘアピンなくしたか、
わかんないや
でも今やっと少しだけわかったよ
あなたの気持ち
帰り道
足元のタイルの隙間に
一本のヘアピンが落ちてたの
「お疲れ様」って呟いた
なんでかちょっと
励まされた気がしたの
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