―あれは蝉が鳴きはじめる、かんかん照りの猛暑日だった。
僕等はそんな日に出逢ったんだよね…。
僕は陸上部の新部員として、沢山の汗を滝の様に流していた時、帽子をかぶり、夏にも関わらず長袖とスラッと長い白い脚を包み隠す様に白く綺麗なロングのスカートを着た君が僕の顔にタオルを押し付け、走り去った。
あれが、君と初めての出逢い。
僕は意味が分からなくて、暫くタオルを握ったまま、ぽっかりと口を開けて走り去る君の背中を目で追ってた。
「なんだ、彼女か?アチい、アチい。夏だってのにほんまにお熱いこっちゃ」
先輩に背中をパンパンと叩かれて、高笑いをされた。てか、僕の方が笑いたくて仕方ない。
だって、意味分からん行動されて呆気に取られたし、何と言っても先輩のアチいって言いながら手をうちわ代わりにして仰ぐリアクションが妙に古臭く可笑しかった。
水分を補給して、緩んだシューズの紐を結び直してグランドに駆けて行った。
その最中で涼しげに吹いた風が僕の髪を靡かせた。
―そういえば、あの子の髪は綺麗な黒髪で風で靡く姿はとても綺麗だった。…でも、どうしてあの子はあんなに白いのだろう?
「おい、逞。何してんだ、早く来いよ。彼女より先に、ぶ、か、つ、だ!」
「あっ、はい。今行きます」
(彼女じゃねぇよ、まぁ綺麗な人だったし歳も僕と変わらないくらいだった)
謎の女性の事を気に止めながらも僕は休憩を終え、部活に戻った。
コメント0
関連動画0
ご意見・ご感想