掴んだその手を離した時
要らなくなったものを捨てた時
古い記憶から忘れていく
忘れていないことならもう落としている

別れは突然でもない
少しずつ離れていく距離 また一歩
互いに背中向きで声もかけないで
見えなくなって初めて気づく

晴れた日の空はいつも青いから
変わらず日々が続くと思っていた
道端の名も知らない雑草
刈り取られたことを知った帰宅途中

知らないうちに抱えている
失うものばかり鮮明に覚えている
最初からないものと思えば
少しはこの痛みも和らぐだろうか

紡いだ言葉を声に出して
君のいないところで声に出して
それでも確かに届くと
自分に言い聞かせて
奏でた音は宙に響いて
遠くに行くほど小さくなって
分散して溶けて消えてなくなって
鳴らす前と変わらない世界

生まれて消える命の連鎖
この命もやがて燃え尽きる
自分を失うとはなんだろう
誰かを失うことですら
こんな痛いのに

築き上げてきた数々
埃に塗れて埋もれて風化する
最初からなにもなければ痛くないのに
どうせなくなるものを抱えてきた

崩壊する恒星の末路
星屑を元に生まれた生命
気の遠くなる時の後に
また崩壊していく
今この場所で呼吸していて
もう戻らない時を思い出して
二度と掴めない輝きは
瞼の裏でまだ瞬いている
まだ

嫌いになったわけじゃないけど
段々と薄れていく関係性
呼び合っている僕らはもういない
あの日々は眩しいけど繰り返すことはない
既に別々の道を歩んで久しい
遠くに掠れる互いを互いに観測している

声は届かない
収束していく
最初からなかったのと同じに
収束していく
世界の始まり
崩壊
君との出会い
別れ
収束していく
悲しいならまた始めればいい

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

『±0』

閲覧数:79

投稿日:2021/08/14 22:57:58

文字数:725文字

カテゴリ:歌詞

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