小鳥の山に集られていた桐子は羽毛だらけでヒステリックに喚いていた。
「一体何なのよ?!この鳥…ああ、もう汚らしい!直ぐに追い払わせなさい!外の奴等
は何やってるの?!」
「そ、それが…!BSの奴等もおかしいんです!命令を聞かない奴も出て来て…!」
「どう言う事…?原因を直ぐに調べなさい!」
鳥…?それにBSの不調…?確か律が言っていたな…新薬の洗脳効果はキーワードと名前を唱える必要がある筈…なら律が来てるのか?だけど律には鳥を寄せる様な能力は無い…なら誰が…。ん?鳥…?まさか…スズミ?
「…何か知ってるのね?先生…。」
「何の話だ?」
「…っ!あの子ね?!…あの子がこの鳥…!」
「知った事か。」
「―――っ!」
桐子は手にしたファイルで力任せに俺を何度も殴り付けた。目に見えて判る動揺…だけどもしこいつが逆上してスズミに矛先が向かえばひとたまりもない…。
「無様だな、相楽桐子。何年も掛けて作り上げた頼みの人形BSは言う事を聞かず、
実験材料にして来た鳥には突かれ羽だらけ。」
「なっ…!」
「有難い事に俺達が居なくなれば困る仲間が居る。もう直ぐここにも助けが来る。
そうなればお前はもう終わりだ。」
「黙りなさい!自分の状況を理解して物を言うのね!」
状況?理解?出来ていないのはお前の方だ、せいぜい足掻けば良い、居場所さえ判れば来てくれる、確信がある、なら俺に出来るのは時間稼ぎ位だ…。
「お前の狂った世界なんて誰も認めない。」
「黙れと言ってるのよ!今直ぐすり潰してやったって良いのよ?!」
「やってみろよ。治療薬が無ければお前の保身は無い、大怪我や大病をすれば肝心の
霊薬も使えない。」
「減らず口を!」
「お前は自分の作った狂った理想の世界すら見る事無くゴミの様にくたばれ、
哀れな雌豚が。」
「黙れ!」
「――っ!」
こめかみに鈍い痛みが走った。生暖かい感触が頬を伝い、床に紅い点がパタパタと落ちた。
「そんな目で見るんじゃないわよ!私は完璧よ!完璧なのよ!」
「ぐっ…!」
「なのにお父様は認めて下さらなかった!私の方が完璧なのに!お父様は私より
他の人ばかりを評価した!」
「……。」
「お前だってそうだった!いつもいつもあの子しか見ようとしなかった!私が望んだ
物は何も手に入らない!」
「生憎俺はヒス女に興味は微塵も沸かないな、ガキみたいに駄々をこねても
俺はスズミ以外見る気は無い、触れる気も無い、愛する気も無い、スズミ以外
欲しくない。俺の全てはスズミの物だ。」
「黙れ!」
絶叫と共に紅くなった灰皿が目の前に振り下ろされた。
BeastSyndrome -94.逆上-
女こええ
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