「急なことで大変だったでしょう?もう大丈夫ですよ」
先ほど違うやさしい表情に、緊張が解けていく。

「もしかして、魚をもらいにいらっしゃったんですか?見かけないお顔でしたので」
あぁ、そうだ…と混乱していた頭から記憶を引っ張り出す。

「はい。私の村は雨がなかなか降らず、水が不足しているので」
「…それは気の毒ですね…」
女は少しの間視線をそらし、言葉を詰まらせながら続ける。

「…あの…せっかく来てくださって言うのも難なんですが…ここには魚がないんです」

「えぇ!?」
「川に一番近い村であるのはたしかですが、本当に山奥でないと魚が見つからないんです」

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熊の神様3

閲覧数:75

投稿日:2012/01/25 17:10:59

文字数:280文字

カテゴリ:小説

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