さよならと言えず　悲しみの涙を
送ることしか出来ない僕は
真っ白な君に　貰った数の分だけ
愛してると言い　送り出す

紫に溶けた空の色　君と混ざって雲一つ
割れかけてた群青の海　何一つ遺せやしない

朽ち果てた心の褐色も　セピアの映画も
今ではただ部屋に眠り　夢も見ずに
ボロボロになって残された絵本みたい

不釣合いな程　咲いた朱い薔薇を
送ることしか出来ない　僕は
透明な君に　貰った数の分だけ
今見た景色に　刻んでく

君が好きな水彩絵具　鮮やかなパステルカラー
僕が嫌いな油彩絵具　くすんでたビビットカラ―

滲み汚れた白紙の世界　じわりと色付く
「私もこんなふうに消え　忘れてくの？」
水色の涙が静かに筆を流れた

「もし私が死んで何も遺らなくても
忘れていいから　君は生きて」
最期の景色は僕が最初(はじめて)見た
24色の君の想い

碧紅山吹　黄緑白黒
全てを教えてくれた君の
キャンパスに咲いた24色分だけ
僕の人生に　描いてく

金銀橙　藍桃茶空灰
守ることしか出来ない　僕は
美しい君が　遺した色の分だけ
描く風景に　生きていく