「場所が判った?!本当か!!」
「何処?!2人は無事なの?!」
「ああ、判った。直ぐそちらに向かう、それ迄何とか持ち堪えてくれ、ああ…。」
詩羽さんは電話を切ると直ぐに来たメールで地図を確認していた。
「2人の居場所が判ったの?!」
「ああ…此処からなら遠くない筈だ。」
「だったら直ぐに…!」
「いや、俺は施設に戻る。」
「えっ…?!」
てっきり直ぐに皆で助けに行くと思っていた私は驚いて固まってしまう。施設に戻る?それって、詩羽さんは助けに行かないって事?
「な…どうしてだよ?!2人が危ないんだろ?!遠くないなら直ぐにでも…!」
「多分動画から直ぐに位置を割り出される。妨害が入る可能性もある。」
「だけど…!」
「翡翠から連絡があった限りでは啓輔が2人の救助に向かったらしい、つまり施設は
今翡翠一人で守ってる。」
「バットが?!だけど、あいつまだ怪我して…!」
何と無く予想は出来た。お兄ちゃんの話を聞いてるだけでも、あの黒い人が奏先生に凄く会いたがってるのは判ったから。だからきっと危険を承知で救助に行ったんだ。
「俺が行く。皆は詩羽と戻ってくれ。」
「羽鉦さん…。」
「何も俺一人で行く訳じゃない、【Yggdrasil】の部隊にも直ぐ援護要請を入れる。」
「…気を付けて…下さい…!」
香玖夜ちゃんは今にも泣き出しそうなのをぐっと堪えていた。心配で心配で堪らなくて、喉まで『行かないで』って言葉が溢れそうで、それでも必死で飲み込んで。気持ちが痛い程判って胸が苦しくなった。
「詩羽、使土。向こうを頼む。」
「ああ。」
「今更だろ。」
「木徒。」
「は、はい!」
「お前は絶対に無理をするな。戦わない事も戦いだ。」
「うん…。」
「………………。」
「香玖夜。」
「わ、判ってます!わ、私は!布団でも被って隠れてます!だから…だから…!」
「…お前の仕事もちゃんとある。」
「へ…?」
「俺が帰ったら飯作って待ってろ。頭のてっぺんから爪の先まで、1ミリの傷も残さず
エプロン着て『お帰りなさい』と言ってみろ!ハイ返事!」
「は…はいっ!」
思わず詩羽さんを見た。目が合うと人差し指を立ててニヤッと笑った。
BeastSyndrome -100.兄弟ですねぇ-
言われてみたいが実際言われたら吹き出す自信が凄くあります。
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うわぁ…大量に小説投下されてる(゜Д゜;)
お疲れ様です!
私は言われても吹き出さないとおも…たぶん…?
2010/07/06 12:19:42