転がるならソファでもベッドでも構わないの
温めてくれるなら
テーブルの上 置かれたカップから 蜜の香り
幸せそうにしてるね

星の瞬きは届かない 湯気の立つ音も聞こえない
憂鬱の密度が心地よくて

ねえ カプチーノ あなた たくさんの ガールに愛され 幸せね
ベージュのコートを着た雪だるまみたい とてもよく 似合っているわ
でも 寂しいの 底に隠された 仄かな甘みに 気づけない
豆腐を溶かしたお湯 飲んでいるみたい 何もかもが無彩色 なのよ


渇いた喉 湿度を増やそうと 飲み干した
冷えたカップの中身
舌に残る 大きな砂子（いさご）の 濃いざらつき
砂糖の間違いだった

鍵は玄関を開けたまま 帰る居場所すら何処にもない
白馬の王子は 要らないから
悪魔の公子よ 迎えに来て

ねえ カプチーノ 私 恐ろしい 明日もこうして生きるのが
あなたがお外に出て挨拶を交わす その方が世界も喜ぶわ
ほら 眩しいの 午前四時過ぎに 追い掛けてきた 太陽が
逃れる気力もない 仕方の無いこと
窓に向けて呟いた ‘‘good night’’


ねえ カプチーノ あなた たくさんの ガールに愛され 幸せね
ベージュのコートを着た雪だるまみたい とてもよく 似合っているわ
ねえ カプチーノ 私 飲み干して あなたに染まったつもりなの
そろそろお別れかしら 心の部分が
意思を持って冷えていく ようで