喉を伝う仮死は荏苒で
張り付いた日々の逃げ場を探す
こんな不定形の短命を
「正しい」に補色され引き延ばした

淡く繁殖する倫理の神政よ
臓腑の五線譜で止まらないで
愛と悲哀の理　正解はどちら
暗幕縺れていく

命堕落したって有限　日々を書き換えたって有限
無意味を寄せては返す波
決して癒えない現実を　食卓に添えてどうぞ
喰らって救いの安寧を


不可逆の回路を水に埋めるだけ
けど盲目的になる思想、本能が
「苦しいよ」なんて介在しない命を出して
終わらせられない罰を強いるのさ

形骸と化す体　憂いは罪か
どうして呪いは解けないの
生きとし生ける者、愛を欠かさず
信じる義務を持つ？

脳を狂わせたって有限　他人を終わらせたって有限
遍く命と差異は無い
堕ちて砕けた幻想を　晩餐に添えてどうぞ
響いて朽ちた足音よ


流れる声に掻き消されて
落日の音は詰まるまま
「思考の末の解だ」なんて嘘は止めてよ
誰が決めた理性の糸だ？
そんな前史に‏報いる道徳は
盲目信者の戯言に聞こえて
仕方ないから


眩む体温の時計をそっと止めてしまう思想を
飼いならせるような嘘は無い
幸か不幸かどうかなんて誰も量ることはないんだ
この糸切って貴方の元へ

さあ堕落したんだ人間　日々を書き換えたって偶然
無価値を叫んでは褪せるだけ
決して癒えない現実を　食卓に添えてどうぞ
赦して どうか止めないでいて