ドラマが見たいから、ドラマの時間になったら呼んでね!と念をおして部屋に向かった彼女を呼ぼうと電話するが、いくらコール音が響こうと電話に出る事もなく、訪れもしない。
もし、寝ていたとしたならそろそろ起こさないと我が身が危ないと過去の経験から浮かんだ彼は足早に彼女の部屋に向かった。
彼女の名前と自分の名前が書かれたネームプレートを視界の隅に、部屋に入れば新しい楽譜を幸せそうに抱えて眠る姿にレンは溜め息をついて片割れの名を呼んだ。
「リン」
一度目。
「リーン」
二度目。
「リン!」
三度目。
名前を呼び続けるが一向に目を覚ます気配も見えない彼女にレンはシャッ、と閉められたカーテンを開けた。
遮るものを失った日光は光の直進法則やらなんやらで真っ直ぐに差し込み、リンの顔を照らした。
するとリンは眉間を寄せて、目を開けた。
「んー…」
「こんな所で寝てると風邪ひくよ」
「あー…レンだ。レン、おはよう」
「(人の話聞いてない…)…おはよう」
「なんでレンが私の部屋にいるの?」
「リンがドラマ見たいから起こせって言ったんだろ」
「あ、―――あああっ!」
リンは時計を見、慌ててテレビに向かい走って行く。
―――のだとレンは思ってた。
しかし、リンは少し先で止まり、踵を反したかと思うとレンの近くに駆けてきて、「はい!」と元気な声と明るい笑顔をレンに向けて握り拳をレンに向けた。
どういう意味か、とレンが困惑しているとリンは痺れを切らしたように「手!」と言い言葉を続けた。
「手出して、手!」
その言葉に恐る恐るだが手を出せば一つキャンディーが落ちた。
それはいつも彼女が好んで食べているオレンジのキャンディーだった。
「あげる。それ食べるとよく眠れるよ」
「え…」
わしゃわしゃとリンはレンの頭を撫でた。
「私よく寝たからレンに私の睡眠のお裾分けだよ。レン、最近練習頑張って睡眠不足みたいだから」
いつものように向日葵が咲いたような明るい笑顔を浮かべて、ドアに手をかけた。
「だから、いい夢を。……おやすみ、レン」
ドアが閉まる。
視線を下ろせばキャンディーが写った。
「…リン寝たの確認してから練習してたはずなんだけどな……」
ばれてたか、と呟いて口に含めばいい夢が見れる気がした。
甘いキャンディはまるで彼女の優しさのようで、
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