「本当にしょうがないなぁ、A弥は」


口癖のように、オレはよくその言葉を溜息交じりに呟いていた。





──A弥はオレが必要。
ただそれだけのことに、不思議と嬉しくなる。





──そんな、ヒーロー気取りだったオレと、しょうがないA弥が小さい頃のお話。





 *





昨日の大雨が嘘みたいなよく晴れた日。

オレは、A弥の家の呼び鈴を鳴らした。
しばらくしてドアが開き、彼は顔だけを出した。相変わらずの無表情で。


「A弥! 遊ぼうぜ!」
「…………嫌だ」


そう言うと、A弥はパタンとドアを閉めた。
オレはその速さに呆気にとられる。


「…………」


………………いやいやいや!?


「一番最初の言葉が『嫌だ』って酷くない!? そこはさぁ、『やぁ、C太君。そのアイディアはベリーグッドだね!』とかにしようよ。これだからA弥は……」
「……君こそ、『おはよう』とか言えないの……それに、なんで勝手に入ってんの……」
「いいじゃんそれぐらい! せっかくの日曜日なんだから、外で遊ぼうよ!」


オレはA弥の正論を無視して何度も「遊ぼうよ」と言う。
別にいいじゃないか。別にいいじゃないか! 別にいいじゃないか!!





やがて、ウザいぐらいに「遊ぼうよ」を連発するオレに、ついにA弥のほうから白旗をあげた。


「……いいよ……遊んでも……」
「ホント! それじゃあさっそく外で──」
「……でも……外は嫌だ……」
「それじゃあどこで遊ぶのさ? ちなみに、オレん家はダメだからな?」


そう、だからオレは暇だったからA弥に「外で遊ぼう」と言っていたのである。
するとA弥の口から出たのは、彼にしては意外な言葉だった。


「……僕ん家。今日、お母さんとお父さんいなかったから、ちょうど暇だったんだ……」
「…………」


普段、オレたちはそんなに家に呼び合うことはない。
いつもは外で遊んでるし(とはいっても無理矢理だが)、話すことなら学校でもできるからだ。

最近でどちらかの家で遊んだのといえば、多分オレの家でお泊り会をしたときだろう。


「……いいの、ホントに?」
「……うん、いいよ……」


それに、とA弥は伏し目がちに、





「……いつも、C太にはお世話になってるから……」





──ああ、やっぱりオレってA弥に必要とされてるんだな。

じわじわと心の底から嬉しくなる。気を緩めばニヤついてしまいそうだ。
オレはニヤつく代わりに満面の笑みを作って、


「いいよ、別に! それじゃあ何して遊ぶ? っていうか、A弥って何か持ってたっけ?」


オレ以外の友達がいないA弥が、大人数で遊べるゲームとかを持ってるとはとても思えない。
トランプとかなら持ってそうだけど……

A弥は少しだけ黙り込んでから、ボソッとこう答えた。





「………………C太がくれたうさぎのぬいぐるみ」



 *



青かった空が赤に染まっていく午後6時。
家に帰ると、ちょうどのタイミングで親も帰ってきた。

──そして今は午後9時。
オレは自分の部屋のベッドの上で寝転んでいた。

ふと、A弥が言った言葉が頭をよぎった。





『………………C太がくれたうさぎのぬいぐるみ』





「……A弥、あのぬいぐるみ大切にしてくれてたんだなー……」


あのお泊り会の日、ピンチに陥ったオレをA弥がかばってくれた。
そして、オレは彼にあのぬいぐるみをあげたんだ。

そのとき彼が言った言葉。
『……いつも、ありがとう』





オレはなんだかニヤニヤが止まらなくなった。
別に誰かが見てるわけでもないと、隠すこともしない。
……もしこの部屋に隠しカメラがあったとしたら、今のオレの姿はとっても気持ち悪く映っているだろう(まぁ、隠しカメラなんて設置されてないと思うけど)。





「……しょうがないなぁ、A弥は」


オレは溜息交じりにそう呟いた。
そして、オレはそのまま眠りについたのだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

「負け犬至上主義」が可愛すぎて

書  い  て  し  ま  っ  た  よ(((黙
二人の幼少時を、小説を基に書いてみました。
gdgdです。捏造たっぷりです。そして何より重要なのは、これを「CAhshs」な腐女子が書いているということです……!←


ああああああああああもう可愛すぎです。A弥推しの私には可愛すぎて辛いです。大好きA弥。愛してるよA弥。
もう絵が可愛い。そして曲も可愛い。=全てが可愛い←
しかも「世界へと!」の部分のA弥がぷぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!(((カッターナイフ


クロスフェード[http://www.nicovideo.jp/watch/sm20227603]

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投稿日:2013/03/03 00:41:08

文字数:1,671文字

カテゴリ:小説

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