・・・貴方が、好きなのです。
人間は、どんどん贅沢になりますね。
最初は、貴方が見られるだけでよかったのに。
拝啓、と書いたまま、動くことのできない筆。
起こし言葉と結び言葉を、半紙の上で交差させて。
えぇ。・・・貴方が、好きなのです。
心を、塗りつぶしてしまいたい。
貴方を見るだけで、私が染まるべきでしょうか。
もう、誰にも見せられない日記帳。
貴方が、・・・好きなのです。
言うことなんて、できるわけがない。
貴方には、素敵なお方がいらっしゃるのでしょう?
私ごときが、その幸せを壊しては、・・・いけないと思うのです。
拝啓、とだけ書いた半紙を、真っ黒に塗って沈めました。
あぁ。・・・貴方を、愛しているのです。
心なんて、無くなってしまえばいいのに。
貴方に締め付けられて、私はもう、動けないのです。
もう、私には、見ることすら出来ない日記帳。
恋焦がれて、恋焦がれて、それでも、私は此処にいるのです。
気付いてください、気付いてください、私が此処にいることを。
それだけで、・・・私は幸せなのです。
心だけで、私は此処にいるのです。
貴方がそこに生きているから、いつかの可能性に期待をしているのです。
ぼろぼろになった、見られるのを待っている日記帳。
あぁ、・・・貴方を、愛していたのです。
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