夜半、遠くに不如帰
街角は月明りに凍え
春の修羅さえ大気に溶けて
瞬きほどの暗闇に憩う
夜半、近くに仏法僧
窓辺は星明りを帯びて
ぬすびとすら近寄らぬ場所に
世界の秘密を置いてきた
夜をのみほせ
あまねくひとしく覆いくる夜を
太陽の光線に眩んで
さがしていた答えを忘れる前に
夜を貪れ
無窮の彼方、インドラの網の果て
青い孔雀が虚空を駆けて
はじまりの秘技が隠される前に
夜半、路傍に仏法僧
ひとびとは夜のしじまに怯え
透明な夜明けとともに来る
南の風を待ちわびる
夜半、木立に不如帰
夢想家は机に向かい
かすかに鳥の夜啼きから
四方の夜の鬼神をまねく
夜をのみほせ
行きつく先は天球の底
太陽さえ霞む視界で
隠された答えは静かに震え
夜を貪れ
太古より遠く、天鼓の響き
金の烏が虚空を染めて
はじまりの秘技が暴かれる前に
夜半、遠くに不如帰
街角にかしこく塔はたち
月なく深い暗路を照らす
はじまりが満ちるそのときまで
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