メンバーが別れたあと、ミクとリンの2人が料理長のリッシモに連れられた場所は、フォレスタ・キングダム城の敷地内に存在する【キッチン】であった。
ここは国の王族が食す料理を作るための調理場であり、衛生面に人一倍、気を使う施設である。キッチンの責任者である、リッシモ・チェスカは部下の王室シェフたちに清潔感を徹底していた。
「まずキッチン入ったラ、セッケンで手を洗ってクダサイ。手についたバイキン、かびルンルン、コレっキッチンの敵ネッ」
と説明があるようにリッシモはレンガのように大きな石鹸をシェフたちに手渡すのだ。他にも口ずっぱく部下たちへ促しているのが、整理・整頓・清掃・清潔・躾からなる5S。
料理長リッシモは、このキッチンを王族が召しあがるための食事を作る聖なる領域であると力説する。同時に料理人にとって名誉ある職務であり、その誇りを持って「キッチンに立ちなサイ」と示すのだ。
「あの〜っ。私とリンちゃんは、なにをすればいいですか?」
「オーゥッ。ラガッツァたちは、シャインマスカットを水で洗っテ、実をわけてくだサイ。メテ姫サマ、このブドウ大好きネ」
リッシモからまず与えられた仕事は、フォレスタ・キングダム特産品であるシャインマスカットの下処理からだった。
ミクが指差さされたほうを見ると洗い場(シンク)がある。そこには、洗い桶に入った果物・シャインマスカットが存在している。
「あれを洗えばいいんですね♪」
「任せなさいよ」
ミクとリンの2人は洗い場へ足を運んだ。そして洗い桶に水を流し、シャインマスカットを洗浄するのだ。
「おいしそう……ゴクッ」
蛇口から溢れる流水が黄緑色をした果物へあたると、シャインマスカットから華やかで甘い香りが立ちこめる。その香り、ぶどう界のスーパースターと表現できるくらいマスカット香の強いモノ。
「そう言えば、門番の騎士さんが……マジうま、バリうま、マスカッツパーリィナイツって言っていたわね……」
彼女はシャインマスカットから放たれる誘惑と闘っていた。果樹の並木道を歩んだとき、ひと目見ただけで美味な食材アイテムだとわかった。
まさにそれは禁断の果実、アダムとイブが食べてしまったリンゴよりもマスカットが危険な芳醇さを放っている。
「…………」
ミクはシャインマスカットを水洗いするなか、禁断の果実から声が聞こえるような気がした。
食べると美味しいよ〜っ
わずらわしい種がないからパクパクいけるよ〜っ
ボクを食べたら……ほかのブドウなんか食べれないよ〜っ
お値段が高いだけあって、ほんとうにやみつきになるよ〜っ
禁断の果実から聞こえる誘惑の幻聴、ミクにとってまさに地獄であった。水によって黄緑色の輝きを魅せるブドウたちが、背徳に満ちた食欲を生みだしてしまう。
「ダッ…ダメよ、わたし……。こんな誘惑に負けてしまったら、お姫さまに怒られちゃう……」
誘惑に負けないため禁断の果実を直視しないよう目を閉じて洗うことを続けるが、またも幻聴が聞こえてきてしまう。
我慢しなくていいんだよ〜っ
ボクたちはヒトに食べてもらうために生まれてきたんだ〜っ
キミがいて 食べられるボクがいる
ほら、目を開けてごらん
キミの仲間が食べているよ…………
「えっ……!?」
目を閉じていたミクは、自分の隣に立つ仲間の姿を見た。仲間の少女はマスカットを洗っている最中、辺りを『わんっ つー さん しっ』とリズミカルにチラチラ確認したあと、ひとつにちぎった果実を口に運んでいたのだ。
「!?!?」
──リンちゃんっ! つまみ食いしてるゥーーッ!──
ヒソヒソ…ヒソヒソ……と2人はアイコンタクトを使って会話をはじめた。
※心の中でのトーク※
(リンちゃんダメだよ。このマスカットは、お姫さまが食べるフルーツよ)
(だいじょうぶよ。たくたん実がついてるんだから、ひとつや、ふたつくらい食べたって、バレないわよ)
(でっでも、マスカットの房が虫食いみたいになって不自然な形になるわよ)
(それだったら、半分にしてちぎった部分を隠せばいけるわね♪)
リンは シャインマスカットを 2つにわけた
(よけいに不自然よっ!。なんで千切ったんだって聞かれたら、どうするの?)
(そのときは、お姫さまが食べやすいようにしました……って言うわよ。女子がブドウを、まるまるひと房食べるより、半分にしたほうが恥ずかしさがなくなりますってね♪)
(うん…たしかに、女の子がブドウをひと房まるごと食べるのは恥ずかしいわね……)
(でしょでしょ。キッチンのシェフたちは乙女心のわからない男ばかりだから、いいアイデアよ)
リンが心の声で言うには、いくら美味な果物であっても、お出しする側が乙女心を理解しなければならないと説明している。
G clef Link 姫様へのカラメーラ・ドルチェ1
本当の話
シャインマスカットを食べてしまうと他のブドウは食べれなくなる。
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