何もかも消し去った 天(そら)から落ちた光
読むことのできない 朽ちかけた標識(ひょうしき)も
形すら残らず 崩れ落ちた何かも
傾いた大地に すべてが沈んでいく
見渡す限りの広い荒野の果て 吹く風
揺れてる一輪の花
あなたのために生きる それが私の使命(しめい)
「帰るまでここにいて」あなたはそう言ったから
あなたが愛した花 育てながら私は
この身朽ち果てるまで あなたを待ち続ける
作られた体は 欠け落ちていくけれど
それでもここにいる まだ稼働し続けて
繰り返される日々 すべてがひび割れてく
ただ、過ぎ去る時を あなたを待ち続けて
凍てつく荒野に わずかにのぞく色
大地に根差した 一輪の花
幾千の年月(としつき)で 錆びれかけたメモリー
わずかでも残るのは 春の日の陽だまりと
揺れる花 そよぐ風 振り返ったあなたの
柔らかなその笑顔 穏やかなまなざし
今はもう昔話 過ぎ去っていく月日に
メモリーすら朽ち果て 途絶えようとしている
やがて時が来たなら この体は大地へ
花もまた風に揺れ いずこかへと散り去る
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