何もないと思っていた。
そんなある日の夜に
無意識に見上げた空から
降り注ぐ星、星。
ビルの合間だって
樹々の隙間だって
山の頂だって
どこにだって、「それ」はあるもの。
ねぇ、見えるだろう?
指を指さなくてもあの煌めき
宝石箱をぶち撒けたような
波飛沫が弾けた時のような
何かあると思っていた。
そんなある日の夜に
無意識に見下ろした水面は
満点の星、星。
初めて瞳を開き
目にした景色くらい
鮮やかに揺れる
どこにだって、「それ」はないもの。
ねぇ、見えただろう?
視界いっぱいのあの煌めき
「あのカラットを振り撒いたのは誰?」
草むらに倒れ込んで問おう。
ねぇ、見えるだろう?
尾を引いて行くあの煌めき
気まぐれなカミサマの悪戯さ。
伸ばした掌で星を掴んで
流星群のように。
流星群の夜に。
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