私の名前はエネ。
本当は榎本貴音。
「え」のもとたか「ね」だから、エネ。

そして、私は電子世界に生きている。
この電子世界を駆け巡って、何年くらい経ったんだろう。
良くは覚えていないが、だいぶ長い間・・・だろうな。

あの頃。

あの風景。

あの言葉。

「貴音」
そう言って笑う、遥の笑顔。

私は、"きっと"忘れない。




―あと少し待って―




「遥、大好き。」

その言葉を何回繰り返しても、
何度心で祈っていても、
―・・・通じない。
通じてないんだ。

「―・・・!、―・・・ネ!、―・・・エネ!!」

今の自分の名前を呼ばれ、振り向く。
「ご主人、あはは、何ですか~。」
私は頭を掻き、笑って見せた。

ご主人は、続ける。
「最近お前、何か変だぞ。」
私の顔を心配そうに覗き込むのだ。
「何でもないですよ~、ご主人こそ何か言う事があったんじゃないですか?」
無理やり、口の端を釣り上げる。
「いや、なんでもねぇ・・・けど・・・、」

また、ご主人は続けるのだ。

私の心を、見透かすような事を。

「お前、泣きそうな顔してたから」

泣きそう?私が?
私の命は、私の感情は、もうどこにも無いと思ってたのに。

「ちょ、おい、え、エネっ・・・!?」
ご主人の驚いたような声が、耳に届いた。

ダメだなぁ、私。
強くなりたいのに、強くなろうとしてるのに
弱いまま。
ご主人・・・シンタローには、敵わないよ。

「泣くなよ・・・、涙拭けよ・・・」
そう言って、おろおろし始めた。
「無理です」
私は即答する。
「な、何でだよ!」
いっそう、おろおろするご主人。

「今は・・・黙っててください。待っててください。」

精一杯の、強がり。

ご主人は、黙った。
私は、まだ泣き続ける。




"今は黙ってて、待ってて。"









遥、大好き。





その言葉を伝えるのは―・・・まだ、待って。

多分、いつか伝えるから。
きっと、また会えるから。
だからその時は・・・

ちゃんと伝えよう。





























「ん・・・?」

九ノ瀬遥。
現在の名前は、コノハ。

そう、コノハは目を覚ました。
いつもと同じベッドで。
いつもと同じ天井を見つめて。

「今・・・誰か・・・、」

むくりと起き上がり、辺りを見回す。






"遥、大好き。"





今、君の声が、届いたような気がしたから―・・・。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

あと少し待って

今回のCPは・・・シンエネ!(最後にコノハ)でしたぁぁぁ!!Σ(*´▽`*)
いやぁ、楽しかった♪
シンタロー・・・また登場・・・w
私がシンタロー好きなだけですね、すいません。

楽しんでくださーい!!

閲覧数:699

投稿日:2013/01/26 18:06:04

文字数:1,039文字

カテゴリ:小説

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