私がその部屋に入った時には、すでに満員だった。

皆でいたいけな少女を囲んでどんちゃん騒ぎ。
玄関でその光景を見て唖然、呆然と立ち尽くす私に真っ先に気付いたのは、しるるさんだった。

「あ、イズミさーん! おそいよーぅ!」

お酒でも飲んでるのかな、とも思ったけど、その手に持っているのはオレンジジュース。


「ごめんなさい、遅れました」

部屋は当然というか、なんというか、がらんとしていた。
なのにみんながわいわい騒ぐから、妙に物寂しい感じがした。

何を隠そう今日は――

「これから寂しくなるなあ」

――ちずさんがここ、かなりあ荘を出ていく日だ。


「ちずさん、これ、どうぞ」
「えっありがとうございます」

私はこの日のために選んだちょっとしたお菓子をちずさんに差し出した。
彼女の背後には皆が贈ったのであろうものが山積みになっていた。



しばらくたってから、もみくちゃにされていたちずさんが切り出した。
「……そろそろ行かなきゃ」

一瞬皆の顔が曇る。
でもそれは本当に一瞬だった。
皆すぐ元の笑顔に戻って、「そうかそうか」「じゃあ下に行こう」「とうとうかぁー……」と、ぞろぞろとちずさんの背中をぐいぐい押しながら外へ出て行った。

皆が、こんなさびしい雰囲気耐えられないと言わんばかりに。
出来るだけ笑顔で彼女を送ってあげられるように。


「……」
ターンドッグさんがいないな。
私はそう思った。
きっと私以外もそう思っているだろう。

下へ降りていくと、すこし後ににターンドッグさんの部屋からルカさんと、どっぐちゃんがやってきた。
とうとう我慢ならなかったのか、ちずさんは思いっきり泣きだした。

「うわあああああああああああああああああああああああルカさああああああああああああああああああああああああああんんんんんん」

「はいはい泣かないの、つーか鳴かないの」

「必ず帰ってきますからあああああああああああああああああああああああああああああ」

「わかったからほら、思いっきり抱き付くのストップね、鯖折り気味になってrいたたたたたたたたそこ今痛めてんのよあがががががが

「ああ!!? ご、ごめんなさいいいいいいいいい」

それを見て皆も泣き出した。

「元気でねぇええええ!!」
「お別れじゃないんだもんね!」
「いつか帰ってくるんだから」
「Twitterではいるんだし!!」

一番後ろで私は何も言えなかった。
涙が―――。



あ……

「……あ! ターンドッグさん!?」


ターンドッグさんだ。
すごい、しかめっ面だ。

泣けばいいのに、意地っ張りだなぁ。


一番後ろだったから、会話は良く聞こえなかった。



それでも彼女の背中に精いっぱい手を振った。

また、彼女が返ってきたときに、笑顔で迎えられるように。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

【かなりあ壮】お元気で【イズミ草】

はじめてかなりあ荘で書きました。
ターンドッグさんのネタもらいました、すみません
http://piapro.jp/t/x9xo

ちずさんThank You!!

閲覧数:142

投稿日:2014/12/07 10:43:08

文字数:1,184文字

カテゴリ:小説

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  • ゆるりー

    ゆるりー

    その他

    イズミさんの初かなりあ荘話がちずさんとの別れ…(´ ; ω ; `)
    あああああああああああああああああああイズミさああああああん

    一応…
    【白いハンカチ(15)】
    *涙をふくハンカチ
    *愛用である

    2014/12/07 13:49:27

  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    どうもこんにちは意地っ張りです←

    人前で泣くのが苦手です。一度泣くと1時間は止まらないタイプの人間なので((
    なので普段から別れ際ってのは感情冷え切らせて相手に冷たい言葉をブッ込んでいくスタイルですねww
    ……誤解されないかって? 私はバレ易い人間でもあるので(ダメじゃん

    2014/12/07 12:36:44

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