「ある辺鄙な港町に意味のない、しょうもない男が居た。男の名前はサダール人は彼をこう呼ぶ。水掛阿呆のダサール。と。……こりゃまた失敬。」

わっしの仕っ事は水掛理論
やってもやってもやりきれないし
やってもやってもやり終わらん
定めも無けりゃ 給料もねぇ
明日もないかも そいつぁねぇ…
人はわっしを水掛阿呆と呼んどるけれど
最初(はな)から聞くだけ、四ドル損
撃ちたい衝動で、コンドルをポン!

わっしの仕っ事は水掛理論
やってもやってもやる意味無しに
やってもやっても誉められもせん
休みもなけりゃ 縛りもねぇ
昨日はあっても どうでもええ……
人はわっしを水瓶じじぃと呼んどるけれど
それが悪いか 文句は言わせん
それがわっしの使命なのだ それが唯一の救済なのだ

最強の水夫として名を馳せた かつての栄光影も無し
時代の悪戯はかくも残酷か?
最強の水夫はもはや最狂の癌夫そして永劫の陳腐

「さぁ、みんなで唄おうじゃないか!」

ヴァッサ・マン! ヴァッサ・マン!
為体が愛したもの それは
ヴァッサ・マン! ヴァッサ・マン!
代々伝わる手に職 今日も掛けるぞヴァッサ・マン!
水を掛けるぞヴァッサと!

嗚呼 素晴らしい こんな下らない日々が心の支えになるとは
嗚呼 傷ましいが こんな優しい日々まで掠められたくないのだ

わっしをずっと馬鹿でいさせてくれ!

「かつて水夫だった男は、自ずと引き起こしてしまった何らかの大罪、記憶の果てに蓋をして隠してしまった、トラウマから逃げるように
見ざる、聞かざる、愉快極まりない間抜けの音頭を踊り続けた。
その背に宿る、喧しくどす黒い宿命の予知を振り払うように。」

あの悪魔みたいな黒空の下、叫び声のような白雷は
大切な仲間も、大切な家族も、大切な想い出も全て吹っ飛ばした
何もかも全部気がつけば わっし以外の全部を無に帰した
どうして そうして 老いぼれだけを生かす?
もし神が居るとするのならそれはどれだけの存在か?
計りも知れないが 計りもしてやるものか
血も涙も味わえぬ報えぬ貴様なんぞ敵だ…!

「確かあの日から…わっしの背中に黒い痣みたいなモンが浮き出てきたのは……」

【老父はそう言った翌日、港町から姿を消した。その更に翌日のことだった。港町は蛮族に襲われ、老若男女問わず罪無き多くの命が奪われたという。老父を導いたものが何だったのか、誰一人として知る由はない。】

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

為体が愛したもの~天体滅亡論・アクエリアス~

ええ。ギャグにする予定でした。でも真面目なんです。長編死ぬわ。

老人ボカロでないかな。切実に

閲覧数:38

投稿日:2011/02/13 22:36:10

文字数:1,016文字

カテゴリ:歌詞

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