Ａ
「根無し草に花は咲かない」
　事あるごとに呟いていた
　笑って済ますために使っては
　ご機嫌斜めなため息が出た
Ｂ
　自分探しの旅もしたけれど
　行く先にある訳も無く
　けれど
　そこで暮らす人達を見ていたら
　不思議な絵が浮かんだ
Ｃ
　何時か誰かが生きていて
　そして今ここに生きている
　何時かの模様は姿を変えながら
　それでも途切れず伝わっている
　あぁそうか
　振り返った足跡に
　やっと自分を見付けた
Ａ
　型にはまることを拒んで
　自由な場所を欲しがっていた
　ひたすら都合の良い道なんて
　夢物語を思い描いて
Ｂ
　耳を塞いで道を嫌がって
　歩き方はそのものだった
　そうだ
　こんな僕の心にも人生の
　模様を受け継いでいる
Ｃ
　何時か大事にされていて
　そして今もまだここにある
　ひそかに繋がる教えに導かれ
　今まで歩いて来れたんだろう
　あぁそうか
　今辿った足跡は
　ずっと前からあるんだ
Ｄ
　時の地図を広げたら
　僕は点ですらもないけど
　誰か一人でも欠けたら
　地図は幻になるだろう
　みんなそれぞれの人生が必要なんだと
　それに気付いたら
　臆病だった足取りが軽くなった
　そんな気がした
Ｃ
　何時か誰かが生きていて
　そして今僕が生きている
　何時かの模様は姿を変えながら
　それでも途切れず伝わっている
　あぁそうか
　歩み出した足跡に
　僕の証が浮かんだ