エピローグ:
いつだったか、海人とこんな話をしたことがあった。
一緒に、劇団の劇を見に行った時のことだ。
「海人、天国とか地獄って、ほんとにあると思う?」
劇の内容から、そんな話に発展したのだった。
その時の私は、天国とか地獄とか存在そのものを知らなかったから、つい大真面目に聞いてしまった。
「はは、グミちゃんは信じてるの?」
「ん……まぁ、人並みには」
思わず嘘をついた。今の今まで知らなかったけれど、それを知られるのも恥ずかしかったから。
でももしもそんなものがあるのだとしたら、私はきっと地獄行きなんだろうな。なんて、その時は何気なく思い込んでいた。
……。
ふと、目が覚める。
まばゆいオレンジ色の光が、目の前に飛び込んできた。
あれ?ここはどこ?
私は確か海人を撃って、その次に自分も撃って……。
そうだ、確かそこで絶命したはずなのに。
なんで私は目が覚めるんだろう。おまけに何故か体がふわふわとした感覚で、地面に足がついていない感じがする。
水中に漂っているような、不思議な感覚。
ぼんやりとした頭で考えながら、私はその場に漂う。
そうか、ここはもしかして地獄かな。けれど、なんだかイメージと違う。
地獄って、もっと暗くて怖くて、痛い場所だと思ってたのに。
こんなに、暖かくて、優しい場所じゃないはずなのに。
そんな風に疑問に思っていると、だんだん視界がはっきりしてきた。
見えてきたのは、一面の花畑。そこに一人、誰かがぽつんと背を向けてたたずんでいる。
誰かなんて、そんなの遠目からでもすぐに分かった。
海人……!!
なぜだか、海人はぴんぴんした姿でそこに立っていた。
どうして怪我ひとつ負っていないのか、ということまでは頭が回らなかった。
目の前に海人が立っている。ただそれだけのことで、何も考えられなかった。
海人!
呼びかけようと声を出すも、その声は泡沫となって消えていく。まるで本当に水中にいるかのようだ。
けれど海人はその声に気が付いたのか、こちらに振り向いた。
私は思わず走り出す。自由がきかないけれど、そんなのどうでもよかった。
海人、海人ぉっ……!!!
海人は泣きそうになる私を見ると、にっこりとほほ笑んだ。
そして海人はすぐ近くまで来ると、何も言わずに私を抱きしめる。
間髪入れず、私は抱きしめ返した。
初めて抱きしめられた時と違って、今度は真正面から。
もう、隠し事や後ろめたいことなんてなかったから。
何よりも、海人がそこにいるだけで、私の存在意義は十分だったから。
ラストバレット。エピローグ
・小説長くてごめんなさい。本当にごめんなさい。反省してます。
呼んでくれた方全身全霊で感謝!!
・悪ノPが久々に新曲あげたと聞いて⇒http://www.nicovideo.jp/watch/sm24189059
「最後のリボルバー」ともつながりがあるこの曲。スルメ曲です( ;∀;)
・この小説の元ネタ⇒「最後のリボルバー」「五番目のピエロ」
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ご意見・ご感想
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ご意見・ご感想
はー・・・壮絶な話でしたなぁ。
まずは執筆お疲れ様でした。長い分、深いストーリーを味わうことが出来てとても良かったです。
原曲を聴いてないので分かりませんが、こういう曲なんですかね? ううむ、やはりバッドエンドは受け付けない。悪ノPとは友達になれそうもないぜ・・・(ぉ
サスペンス要素あり、純愛ありで面白かったですよー。すでに何人も殺しているグミではハッピーエンドは望むべくもなかったのかも知れませんが、エピローグで少しだけ救いがあって良かったです。
では改めて、執筆お疲れ様でした。これからも頑張って下さい。
2014/08/16 14:51:16
†B†
こんにちは。時給さん、読んでいただきありがとうございます!
こんな長さになってしまい申し訳ないです。
本家の設定とは色々と違う部分もあるのですが……大体は原曲もこんな感じです。
愛する人に出会ったものの、殺さざるを得ない状況になって、泣きながらグミは銃を撃つんです。原曲は、自分を撃って死ぬところで終わっております。
しかしそれだと救いようがなさすぎるので、エピローグは自分なりに追加しました。
悲しいだけの物語は、私も好きではありませんので。( ゜Д゜;)
読んでいただきありがとうございました!!時給さんも小説頑張ってください('∀')
2014/08/16 22:42:19