空は暗雲に覆われている。
冷たい風が路地裏を走る。
人っ子一人いないシャッター街。
ひび割れた舗装道路。
猫すら避けるこの廃れた商店街に影が一つ。
その者、身の丈5尺ほどで痩身。
漆黒の長髪は頭上で結び、
これまた黒い着物をまとっている。
風は止んでいる。
空は曇天となり、
生気は感じられないその道に
男か女かさえ分からぬ者が立っている。
25になるほどの男、彼の者に近づきたることあり。
男、その者を見上げたり。
彼の者、空へ届きたるほどに高うなる。
男、畏れたり。されど逃げること叶わん。
男、あまりの畏れに気を失いたる。
朝方、目を覚ましたれど何もあらず。
別の日のこと。
27になるほどの男、その道歩きたり。
目の前に彼の者現れたる。
されどその男、畏れず見下す。
されば彼の者次第に小さくなる。
やがて消えたり。
彼の者、妖にあり。
名をば“次第高”。
見上げれば高くなり、
見下せば小さくやがて消えたる。
山陰、山陽地方の言い伝えなり。
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