空は暗雲に覆われている。

冷たい風が路地裏を走る。

人っ子一人いないシャッター街。

ひび割れた舗装道路。

猫すら避けるこの廃れた商店街に影が一つ。


その者、身の丈5尺ほどで痩身。

漆黒の長髪は頭上で結び、

これまた黒い着物をまとっている。


風は止んでいる。

空は曇天となり、

生気は感じられないその道に

男か女かさえ分からぬ者が立っている。



25になるほどの男、彼の者に近づきたることあり。

男、その者を見上げたり。

彼の者、空へ届きたるほどに高うなる。

男、畏れたり。されど逃げること叶わん。

男、あまりの畏れに気を失いたる。

朝方、目を覚ましたれど何もあらず。


別の日のこと。

27になるほどの男、その道歩きたり。

目の前に彼の者現れたる。

されどその男、畏れず見下す。

されば彼の者次第に小さくなる。

やがて消えたり。


彼の者、妖にあり。

名をば“次第高”。

見上げれば高くなり、

見下せば小さくやがて消えたる。


山陰、山陽地方の言い伝えなり。

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中国地方に伝わる妖怪の話を
古文調に、しかし現代風に表してみました。
背景だけですけど(苦笑

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投稿日:2009/09/01 00:22:27

文字数:460文字

カテゴリ:小説

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