背中を向けて君は歩き出した。
僕も君に背中を向けて歩き出す。
涙が流れ出す前にここから遠くへ行きたかった。
心は泣いていた。
公園で泣いた。周りには誰もいない。
泣き始めてすぐ雨が降り出した。
涙か雨か分からない水の滴が頬を伝って落ちる。滴は地面に消えていく。
心は泣いていなかった。嵐が去ったあとの静けさが心を支配されていた。
君が帰って来るのをどこかで期待していた。笑顔で「寂しかった?」と言って帰って来る君を。
君がいない日々が過ぎた。過ぎていくたびに僕は涙を流した。
涙腺が渇いた。もう泣きたくてもなけない。涙は出ない。
そう思っても毎日涙が出た。
泣いて誰のためになるんだろう。
泣くことに何の意味があるんだろう。
君がいなくなってから僕の世界では今までとは違う時間が流れ始めた。不完全な世界で数少ない完全性を持つ時。今までと違った種類の時間が今までと同じスピードで流れた。
僕は飄々とした人となった。
月日はかなりたち、季節が数回代わり、また風向きが変わった。静かになっていた心にまた嵐がきた。ただ、前回と違って嵐のあとは晴れた。その嵐で何かが吹っ切れた――ような気がした。
僕は生きるために涙を流していたんだと思う。
涙を流す以外にすることがなかった。いや、いろんなことをしていたけど、心が動いてなった。
今、やっと涙を止め、涙を流す代わりになる何かを探しに行く準備が出来たんだと思う。
今からは旅だ。一人で。
君の代わりになるものなんてないと思うけど、涙の代わりになるものならあるはずだから。
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