リハビリも兼ねて少し重い身体で歩く、流石に体力を消耗しているのか直ぐにフラ付いてしまうのが情けない。

「…っと。」
「啓輔?!大丈夫?!」
「躓いただけだよ、重病人扱いすんな。」
「ん…でも少し休もう?ね?」

日を避ける為に近くにあった小さな公園の木陰に座り込む。憐梨が少し涙目で心配そうに顔を覗き込む。あの爆発で、幸い憐梨に怪我は無かった物の、俺の怪我を見て憐梨はずっと自分の事みたいに辛そうだった。巻き込んだのは俺の不覚、発信機に気付けなかった事も、俺自身が襲撃に対応出来なかった事も、全て俺のせいだって言うのに。

「ちょっと心配し過ぎ、お前が怪我したんじゃ無いんだからさ。」
「心配するよ!だって…その怪我私を庇っ…!んっ!啓…!」
「これであいこって事で…ああ、律に怒られるかな?」
「は、博士とはそんなんじゃ…!」
「憐梨…そのままじっとして…目を閉じて…。」
「ちょ…け、啓輔?!」
「死ねぇ――っ!!」
「きゃあっ!!」
「遅い!!」
「…が…はっ…!!」
「蹴り一発とは雑魚にも程が…どした?真っ赤だぞ?」
「何でもない…。」

雑魚にしてもこんな昼間から襲撃?俺の事がバレてるにしたって出来過ぎてる…他に標的が居たんだろうか…?まさか憐梨?それとも律…?

「啓輔さん!大丈夫ですか?!」
「律?」
「いえ…途中で襲撃犯の『音』がしたので…。」
「こっちに来たのは雑魚一匹だったけど…。」
「一人?…いえ、確かに…。」

そう言い掛けた瞬間、ガラスの砕ける音がした。

「――しまった!あの方角は…!」
「どう言う事だ?!」
「標的は私達ではありません!あの方角にあるのは奏家本宅…騎士様の実家です!」
「何だって?!」
「先に行きます!啓輔さんは走らないで!」
「そんな場合か!!」

一歩毎に体中が軋む様な痛みが走ったが無視して走った。騎士の実家…?一体何が起きてる…?!

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  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -82.太陽光-

熱中症に注意

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投稿日:2010/06/29 23:25:21

文字数:801文字

カテゴリ:小説

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