深夜、窓を開けると街の明かりがぼんやりと揺れている。私はノートパソコンの前に座り、ヘッドホン越しに音楽を流しながら、新しい曲のコードを打ち込んでいた。メロディは頭の中で生まれるけれど、指先を伝わる音符は、まだ形にならない。気づくと外では猫が屋根の上で鳴いていて、その声がまるで自分の曲に混ざるように聞こえた。
曲作りの面白さは、誰のルールにも縛られないことだ。理論や型を参考にすることはあるけれど、結局のところ最終的に鳴る音は、自分の感覚が決める。たまに、過去に学んだスケールやテンポが頭の中で交差し、予期せぬ和音が生まれる。そんな瞬間、まるで宇宙のどこかで他の誰かも同じ音を感じているような錯覚に陥る。
ピアプロに曲をアップすると、世界中の誰かがそれを聴くかもしれないと思うと、不思議な高揚感がある。コメントやイラストがつくと、作品は私だけのものではなくなる。けれど、誰かの手で変化する前の、純粋な音の形を覚えているのは自分だけで、その感覚が創作を続ける原動力になる。
ある夜、コード進行に悩んでいたとき、ふと窓の外の風景がアイデアをくれた。雨に濡れた路面に反射する街灯の光、その淡い揺らぎに合わせてコードを組み替えてみると、曲全体の雰囲気が一気に変わった。音楽は、耳だけでなく目や心の中の光景とも対話するものだと気づいた瞬間だった。
曲を完成させるたびに、自分の中の小さな世界が広がるのを感じる。どんなに人気が出ても出なくても、作品は自分の手で生まれた唯一の瞬間を記録している。音符の一つひとつは、その時の自分の感覚の化身であり、聴く人の心に触れる可能性を秘めている。ピアプロはその小さな宇宙を共有する場所であり、創作者同士の静かな会話の場だ。
今日もまた、夜空を見上げながらコードを打つ。誰のものでもない音が、今夜も私の部屋で歌っている。そしていつか、誰かの耳に届き、共鳴することを願いながら、次の音を探すのだ。
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