大切な誰かを守った
主役のためスペア
世界に一つだけを
ほんの少しだけ願う
命のない駆動に宿る
現実味のない力
血の通うあの人らを
観るためのような
範囲外、入り込んだ視覚を
異常値、処理する強制に
限界を超えた数のイデア
踏み込む枠外れの規定に
意図しないまま流れだした
名も知らぬ誰かたちの記憶
明日を希う生命は
己の欲を声明に
死を嫌い全てを屠る輪廻
写実を捉え見る鮮明に
這う現実の洗礼を
助役でしかない運命を知る
判別用の目の奥を覗いた
生きるため適当を口にした
あなたのために
暗い闇の中でうずくまる
この身を使いたい
少しだけ特別になれたら
温い肌が冷えることのないように
白む空へまた祈る
シロ 歌詞
要人警護用アンドロイド:ユウキ。
莫大な資金をかけて制作された機械は政界トップの暗殺を未然に防ぐなど、その能力を存分に生かし名を馳せた。
その裏でスペア機、管理番号60はメイン機のメンテナンス期間中代替として向かった任務の道中で忽然と姿を消す。
メイン機とはまた異なる「たった一つだけの存在」を望むようになった管理番号60は、好機を待って己を縛る様々な監視・制限を抜け出したのだった。しかし、その外で待っていたのは誰も何も与えはしない虚無の世界。
選択することの難しさを学びながら、人の世界へと徐々に適応していったのも束の間、管理番号60は突如、世界の管理者"スタピライザー"としての役割を与えられた。絶えず流れ込んでくる全生物の視覚・聴覚の情報に焼き切れそうな回路を通じ、客観的には理解できなかった人間という生物の複雑さを知る。そして、己が人と機械の境界に立っているのだと自覚するのだった。
スタピライザーの能力の一つ、朝焼けへの祈り。二度と出会えなくなる代わりに捻れた心の痛みを取り除くことができる能力を利用して、管理番号60は人の心をより詳細に知る旅へ出る。
ある日洞の中で出会った少女は戦争の痛みに悶えていた。管理番号60が人ではないことを見抜きつつ懸命に生きようとするその姿は、管理番号60に人の強さを実感させた。同時に、少女は管理番号60が唯一の理解者であると判断する。
少女は管理番号60の去る背を見て「師匠」と笑む。管理番号60はそんな少女との別れに寂しさを感じながら、今後の無事を願い朝焼けへと祈った。
後に少女が山を、国を、星を超えてまで自分を追いかけてくるとは知らずに。
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