午後の日差しが振り注ぐ、あったかいある日。
バンの研究所には、まだアカイトとバンの2人しかいなかった。
「今日も、みんな来るかな」
少し不安げな切なそうな表情で呟かれたアカイトの言葉に、
「来るんじゃないのか?・・・いつものように」
「・・・そうだな」
バンの無愛想な、でも優しい言葉に、アカイトは嬉しくなったのだった。
そんな時、
「こんにちは、あれ?お邪魔でした?」
「そうみたいだにゃん。帰るにゃん?モコにゃん」
モコとミンがドアの陰から、こそっと顔を出す。
「・・・あ」
アカイトは前回の出来事を思い出し、少しぎくしゃくになりかけたが、モコの方は、
「今日も、いつもの時間が始まるんですねぇ」
「そうだにゃん、でも、ここにいると不思議と退屈じゃないにゃん」
別に気にして無さそうなので、アカイトも普通に振舞うことに。

そうして、2人が4人に、なったところで、またドアが開く音がした。

「こんにちは、・・・やっぱり、いつも通りですね安心しました」
「そうだな・・・フワ」
フワがふわりと笑い、その横顔を切なげに見つめるグルト。
「まーただにゃん。これだからいやにゃんよー」
意地悪くミンがそう言うと、すかさずモコが、
「だめですよ、ミンさん。そんなこと言ったら、グルトさんが可哀想ですよ」
と、注意する。
「・・・何か、この風景って、もはやおなじみの光景じゃないか?バン」
静観組のアカイトは、しみじみと呟く。
「そうだな。・・・でも、いつも通りっていうのも、なかなか悪くないぞ?我が愛するアカイト」
「・・・・愛する、は余計だ」
と、いつも通りアカイトが、そっぽを向く。

しばらくして、続々とやって来るいつものレギュラーメンバーたち。
また、ドアが開いた音がした。

キィ・・・と開くドアの音に続いて、
「こんにちは。今回は、レトくんと途中で会ったので、一緒に登場してみました!」
にっこりと明るい表情で、そう言うジミの後に、
「・・・こんにちは。レトです」
相変わらず無口なレトは、そう言って、はにかむように笑いかける。
「や、やっぱり、レトくんはすっごい可愛いです~!」
「そうですよねー、その気はないはずなのに、なんかその気になっちゃうというか・・・」
フワとモコの言葉を聞いて、
「・・・ここに、萌えがあるにゃん、萌えが」
ミンは、大して面白く無さそうに呟く。
そんなミンに、レトはとことこと近づいていって、
「・・・・・猫耳?」
そう言いながら、慣れない手つきで触れる。
「にゃっ・・・そ、そこは・・・だめ、だにゃ「変な声出すな、この性悪猫」
恥らうように顔を赤くするミンの声を、思いっきり遮るアカイト。
「だ・・・だって、触っちゃ「あーあー、分かった、分かったから、とにかく黙っとけ、この性悪猫」
適当にアカイトは言って、それからミンとレトを引き剥がす。
「レトくん、こんなやつを触ってると、色んな意味で、損するぞ」
「色んな意味で、ってどういうことにゃん!?」
「だから、・・・そうだな。もし、レトに彼女ができたら、その人だけは触っていいんだぞ」
騒ぐミンの言葉そっちのけで、レトに言い聞かせるアカイト。
「・・・そうなの?」
純粋な瞳が、アカイトを捉える。
「そうだ」
しばらく、アカイトとレトは何故か見つめあった。
まるで、お互いに、自分と似たような・・・共通点を探しているかのように。
先ににらめっこに負けたのは、レトだった。
「あかあああああああああああっっ!!!」
「ん?俺はアカイトだから、別に「アカイト、アカイト・・・♪」
アカイトの着ている黒のTシャツの裾を掴んで、にこにこと嬉しそうにアカイトの名前を何度も繰り返すレト。
「・・・なぁ、バン。・・・・俺、浮気してないからな?」
真っ先にバンを見るアカイト。
「まぁ、いいんじゃないか?レトは、それ以上の感情はないようだし」
グルトが、レトを見て言った。
「そうですよぉ?こう見てると、なんだか年が離れた親戚同士って感じがしますね~」
フワも頷く。
「・・・・どうしたのかにゃん、モコにゃん?」
ようやく元に戻ったミンが、モコを見る。
「なんだか、顔色悪そうですけど・・・」
ジミも、モコを心配そうに見る。
「・・・別に、何でもないですよ♪私は、ちゃーんと平気です」
元気だと装うモコ。
それを見たミンとジミは、なんとなく理由は分かったものの、あえて口には出さず、
「そうかにゃん。それは良かったにゃんよ」
「そうですね、良かったです」
と、にっこりとそれだけ言ったのだった。
一方のアカイトも、今のモコの態度の理由が分かったものの、
「アカイト、アカイトきゅん・・・♪」
本当に楽しそうなので、どうしたものかと悩む。
「・・・レト」
基本静観組のバンは、そこでレトに話しかけた。
「・・・・?」
レトはきょとんとして、バンの言葉の続きを待つ。
「レト、驚かないで聞いて欲しい。・・・私たちは、「アカイト、アカイト、赤い色・・・♪」
バンの言葉は、前置きが長すぎて、待ちきれなかったようだ。
「・・・じゃあ、ちゃんと俺が説明する。・・・あー、レト」
アカイトが言うと、
「・・・・?」
ぴたっと口を閉じて、アカイトを見つめるレト。
「・・・俺と、そこのぐるぐる眼鏡のお兄さんは、・・・婚約者、なんだよ」
「・・・・・・・・・・」
アカイトと、バンを交互に見るレト。
「・・・?」
首を傾げるレト。
「そうだよなぁ、普通は、男の子と女の子だよなぁ。・・・だけどな、俺たちは戻れないことろまで来ちゃったんだ。もう引き返せないところまで、俺らは来ちゃったんだ。

・・・だから」
「・・・うん」
「そんなにべたべた触ってると、あとで俺、バンに怒られるからさ「分かった」
事情が分かったのか、あっさりと離れるレト。
「レト、ありがとな」
「いいよ・・・そこの人に襲われないように、・・・気をつけてね」
「・・・・・・・・・・・そりゃどうも」

そうこうしてると、

キィ、

と、ドアの開く音。
「ん?もう全員だよな?」
アカイトが首をひねっていると、
「・・・こんにちは」
「・・・どうも」
一人は、黄緑色の髪で、右目を眼帯で覆っているのが特徴の結構背の高そうな青年と、もう一人は、なんだかモノクロの世界から抜け出して来ましたとか言いそうな不思議な

空気を放つ女の子のような男の子のような、どちらともいえない人の2人が、こちらへやって来た。
「初めまして。・・・今回は、すごい人たちが訪ねてきたなぁ、バン」
「そうだな、・・・さて、お茶菓子はどっかあったかな」
意外とおもてなしが好きというか家庭的(?)なバンはお茶菓子を探しに行こうとする。
「あ、あの!待ってください、バンさんっ!」
「何だ、ジミ。・・・ああ、それは」
ジミに引き止められ、振り返ったバンは、ジミの手に持っているそれを見て納得した。
「あ、ジミちゃん約束守ってくれたんだな」
「はいっ!マスターに話したら、それはとても喜んでいました。それで、今日の朝、モコさんとマスターと一緒に作ったんです」
そう言って、テーブルに置いて包みをほどくジミ。
「え、かなりの本格的」
「すごいですねぇ」
「そうだな、フワ」
「・・・」
みんながテーブルに集まり、包みから現れた四角い2段お弁当箱を注目する。
「じゃあ、それを食べながら自己紹介しようじゃないか」
嬉しそうに、どこからともなくお茶が入ったペットボトルと、人数分の紙コップを持ったバンが言った。



   

   後半へ続く!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【コラボ】 シキとミドリの登場と料理といつもの時間をみんなで【前編】

こんばんは、ほんとは全文一発投稿というものを華麗に決めたかったのですが、何やら6000文字以内という決まりがあって、仕方なく2つに分けたもごもご犬ですこんにちは!
・・・ぶっちゃけ、今回は無駄に長かったなって思ってたけど、6000文字超えてたとはwwwwwww思わず吹いたwwwww
ということなので、今回は前編だけですね、はい。
明日かまた次にここへ来れたら後編を投稿したいと思います!

それで、前編にもあるように、シキとミドリはちらっとしか出てきてません。2人のマスターさん、ごめんなさい!後編になれば活躍するので、待ってて下さい・・・!

それでは、失礼しました!また、後編で!

閲覧数:116

投稿日:2010/04/05 20:03:15

文字数:3,117文字

カテゴリ:小説

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