「……あぁ、いい曲が弾けないな」


ぽつり。僕は呟いた。










<キミノメヲ>










「これ、借りていい?」


と、君が聴いた曲をかき集めく。


だけど音自体は正直、耳障りでたまんない。
君は一体この曲のどこがいいんだろう?


昨日から掻き鳴らしていたギターはちょっと弾けなくなってしまったから。……だから。
君の好きなその「音」を、ちょっと真似てみたんだ。





やっぱり解んない様に閉じ込めちゃいられないと、溢れ出しそうになるコードから、他人の匂いが漏れ出してくる。


僕は普通にバレると思った。だって君の好きな曲を真似てんだぜ? バレるに決まってるだろ。──とか思いつつ。


「これ……作ってみたんだ。まず君に聴いてもらいたくて」


……あぁ、僕。なんで出しちゃったんだろう。すぐに怒られるよ。しかも嫌われちゃうかも。


──しかし、君は怒りも、嫌ったりもしなかった。





「あぁ、また同じような曲になっちゃったな」と、呟いたことを除いては。


そうだよ。

この曲は、他でもない「君の目」を気にし続けて作った歌なんだ。

だからその曲は、君のその「好きなアーティスト」によく似ているだろ?


なぁーんて、僕がそんなことを思っていることも知らず、君は「捻りが無いし、魅力が無いよ?」と勝手にこの曲を評価した。どうぞ、もっと罵ってくれたいいですよ? 僕は構わない。


だって今は、ただ。


「ねぇ……君って本当、センスがないよね」


──君の目をこちらに向けておきたくて。





***





やがて。


「ねぇ、この曲よくない?」
「うんうん。モモちゃんとよく合っているよね」


不思議と、この歌がやけに流行り始めた。
僕のセンスもまだまだ捨てたもんじゃないよ、君に言ってやりたいぐらいに。


月刊雑誌には、僕がピックアップされていた。
その姿を眺めて、僕はなんだか……王様になった様な気分だ。





「ねぇ、見て。モモちゃんが君の曲歌ってるよ?」
『♪~』


君が指差している先は──今話題のアイドル、如月モモ。
彼女は今、マイク越しに僕の歌を歌っている。


「本当、君の曲とモモちゃんの声、合ってるよね」


君はそう言って笑った。
しかし、またしても要らないことを言った。


「だけどさぁ、もう少しイカしたナンバーとか、作ってみたらどう? モモちゃんいっつも恋愛系ばっか歌って、飽きられちゃうかもしれないでしょう?」
「……うるさいなぁ。第一、如月モモは恋愛系の歌ってこそナンボだろう? 彼女に変な曲を歌わせるのもあれなんだよ」
「ま、それもそっか」


……それに、イカしたナンバーは、どうやら僕には無いようだし。


「それより……また、曲出来たんだ」
「わかった。聴けばいいんでしょ?」
「うん」


皆が僕に期待をしている。僕は誰でもない「人の目」を気にしてこの歌を作ったんだ。
だからこの曲も、例の君の「好きなアーティスト」を真似た。


──さて、君はいつ気づくかな?


「うん……まぁ、いいんじゃない?」
「……ありがとう」
「何よ、その不満げな口調は」
「いや、別にィ?」


君のその好きなコードをただ鳴り響かせただけの奴では、素直に喜べないよ(じゃあ真似すんのやめれという)。










──だけど。


突然、君が姿を消した。


それでも僕は、あの曲を真似しながら歌を作り続けた。
その数は数え切れないほどで、全て似ていて。


やがて「あれでもない」、「これでもない」と僕は耐えられなくなってしまった。
僕は蹲った。


君は……君は、どこに居るの?





***





期待してたんだ、正直。
僕以外じゃどうにも、ならなさそうな事も在るんじゃないかな?──と。


結局、そんなこと何一つ無かったけど。


ふと、ヘッドフォンをとり、君から借りたままだったCDを聴く。


『♪~』


あぁ、やっぱり耳障りな曲。
どうして君はこんなのが好きで──





その時。


ふいに思い出した、昔の記憶。
あぁ、そうか。そうだったんだ……!!





──気にしていたんだよ……君の目を!





他でもない、この曲は「僕自身」を掻き毟った歌。
捻りもなく、魅力もない下手なコードをただ繰り返した。


ひたすらに、目を瞑り、叫ぶように思い出していた。





『わぁ! 君、曲作れるの?』
『え……。こんなの、曲でもないよ』
『でも、とってもいいと思うよ。ねぇ、今度これに歌つけてみてよ!』
『え……』


『♪~』

『……あ、あのさ、歌……つけてみたんだけど──』
『本当!! 聴かせて』
『い、いいけど……』

『♪~~』





『うん、なんか素敵だね──』





君の声が、聞こえたような気がして。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

キミノメヲ【自己解釈】

歌い手さんのオリジナルの自己解釈はしていいのかな、と思いつつ。
gdgdでこの曲の素晴らしさが伝えられないorz


マジカッケェ曲[http://www.nicovideo.jp/watch/sm18016289]

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閲覧数:6,904

投稿日:2012/06/11 18:28:10

文字数:2,034文字

カテゴリ:小説

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  • なっさん

    なっさん

    ご意見・ご感想

    読みました! すごく内容にひかれました! これからもがんばってください!

    2012/10/18 18:33:53

    • 雪りんご*イン率低下

      雪りんご*イン率低下

      ありがとうございます!!
      こんなgdgdな内容で惹かれてくれたなんて……(泣

      ブクマ&フォローありがとうございました!!

      2012/10/21 14:41:47

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