夜。
夜とは闇。
ひたりひたりと、音も立てずにそこに居る。
わたしはひとり歩いている。
紛いの明かりが照らす夜道。

闇とは静。
楽の無い音だけが、しずかに遠くで鳴っている。

音。
どこかの家の冷蔵庫が動く音。
音。
鳴らない羽虫の音。
静かに耳を浸す。

わたしはドアを閉めて、慣れた部屋にもどる。
窓には月。
それは闇に寄り添うもの。
けして、隠しはしないもの。

ああ、わたしはさっきほんとうに鍵をかけただろうか?
ああ、確かにかけたよ。

それなのに、ドアの隙間から闇が入り込んでくる。
ひたりひたりと足下を覆う。
耳の中、音が掠む。
ひたり、ひたり、浸っていく。
わたしはひとり、ぼうっとそれを眺めている。

夜とは闇。
闇とは静。
それはわたしを切り取っていく。

ライセンス

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  • この作品を改変しないで下さい
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完全に歌詞ではなく詩です。
リアルの方でも発表した詩なので、もしもどこかで目にされた方は仲良くしてやってください。

閲覧数:282

投稿日:2016/05/11 00:01:43

文字数:338文字

カテゴリ:その他

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