あれからリンは無言で自室へと引きこもってしまった。
「「「・・・はぁ」」」
リビングに3人のため息が響いた。
「・・・この状況を打開する方法はただ1つ」
カイトは言った。
「・・・・僕たちがレンという存在を思い出すこと」
ミクとアカイトは黙って聞いていた。
「じゃないと、この状態がいつまでも続くことになる」
カイトは沈みきった表情で呟いた。
「・・・そのためにどうしたらいいのかが・・・分からないんだよね・・・」
「・・・うん。私も分かんない」
ミクも頷いた。
「・・・・1つだけ考えがあるけどな・・・」
アカイトは苦々しく言った。

「・・・・」
コンコン
リンの部屋を俺はノックした。
「・・・・」
「アカイトだけど、入っていいか?」
「・・・・」
「・・・返事しないと勝手に入るぞ?」
「・・・」
バン、と内側からドアを叩く音がした。
「・・・そうか。やっぱ俺でもダメか」
「・・・・ごめんね、アカイト・・・」
耳をすますと、すすり泣きの声。
「・・・・・・・リン、ごめんな俺たちが記憶喪失なんかになっちゃって・・・。・・・でも引きこもるなんて普段のリンからは想像できないな。・・・なんか、あったのか?」
「・・・・もう、向こう行って。・・・・もう、誰とも顔合わせたくない。・・・正直あたし<こんなもの>思い出してどうしたらいいのか分からないの・・・」
(・・・<こんなもの>・・・・?「思い出した」って、どういうことだ?)
俺は訳が分からなくなる。ぐるぐると思考が空回りしていく。
「・・・そうか。・・・リン、お前は1人じゃないからな。・・・・・向き合える勇気が出たら来てくれ。・・・リビングで待ってるから、な?」
俺はそれだけ言って返事も待たずに、その場を離れた。

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日常的環和 21話 記憶喪失と想像推理と その1

こんにちわ。もごもご犬です。
今回からは前にも言った通り悲劇路線を突っ走ります!

まだまだ続きますよー♪

閲覧数:150

投稿日:2009/08/08 13:16:14

文字数:738文字

カテゴリ:小説

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