教育の義務・勤労の義務・納税の義務
3つの義務が課せられている。
それだけじゃない。
僕たちは明文化されていないもうひとつの義務を背負って生まれてきた。
暗黙のルールを。
生まれ持った呪いを。
だから、どうか救ってください。
僕が欲しいのはただひとつ。



地獄を這い蹲る日々に
飽き飽きしていた
遠い日の苦しみなど
忘れてしまった

そんな僕の前に現れた
自称救世主(メシア)が告げる
「君の好きなほうを選びたまえ」
左手には富と名声
右手には白い翼
カラカラの脳みそは思考停止する
欲望など消えていたのだから
「どっちも、いらない」
否、ひとつだけあるとするのなら
僕が欲しいのは

死にたい、死にたい
死ぬ権利をください
誰にも邪魔されず消える権利を
ください、ください、死の権利をください
この窮屈で退屈で苦しい世界から
連れ出してください


鼓動が鳴り続ける度に
止めたいと思った
遠い日の感動など
思い出せなくなった

そんな僕の前に現れる
人々は口を揃えて言う
「権利を主張する前に義務を果たせ」
死にたい僕の欲求と
周りの意味不明な押しつけの
排反に気づいて思考停止する
絶望に足が止まってしまう
心臓は動き続ける
何故、こんな願いが叶わない
僕が欲しいのは

消えたい、消えたい
死ぬ権利をください
矛盾に満ち溢れた尊い権利を
ください、ください、死の権利をください
この偽りと強制の共感で満ちた世界から
連れ出してください


「違うだろ、嘘つきめ」

救世主はそう言って姿を消す
僕は意味もわからず立ち尽くす

瞬間
蘇る子供の頃の記憶
楽しかった嬉しかった悔しかった腹が立った楽しかった楽しかった
生きたかった
死にたくなかった
ああ、確かにそうだった
僕は生きたかった
自由で気ままな世界で
眩しいくらい美しい世界で
僕が欲しいのは

行きたい、行きたい、
白い翼を広げ
天国のようなあの世界へ
ください、ください、白い翼をください
今の僕が直視できないほど美しくて
眩しい翼を

生きたい、生きたい、
死ぬ権利はいらない
ただ心が躍る世界で生きたいんだ
ください、ください、白い翼をください
でも本当の望みに気づくには少々
遅すぎたみたいだ

行きたい、生きたい、僕の理想郷で......
だから救出してくれる蜘蛛糸を待ってる

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死ぬ権利をください

所詮他力本願

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投稿日:2018/10/23 12:03:03

文字数:979文字

カテゴリ:歌詞

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