開店前なせいか店は薄暗く静かだ。
「毎回毎回この店を待ち合わせ場所にするの止めて貰えませんかね?」
「あ、巫女フェチ。」
「頑張れ、巫女フェチ。」
「なかーまー。」
「だから…!」
「あの…ゼロさん。ああ言ってますけど流船君も、幾徒さんも、碧砂さんも、勿論私も、
皆応援してますから!」
「あ…その…そう言ってくれると…。」
「判ってます!ゼロさんは巫女フェチじゃなくて巨乳好きなんですよね?!聖螺ちゃん
胸おっきいし!」
「ちょ…誰ですか妙な事吹き込んだのは?!」
文句を華麗にスルーされると車で移動する。正直勘で声を掛けた奴が本当に解決の糸口になるなんて思ってなかった。所長である闇月幾徒から『言魂』の話を聞いた時は半信半疑、と言うか九割九分疑っていたが、化け物と戦うのを目の当たりにしては信じるしかなかった。
「しっかし、本当に出来るのか?文字どころかぼんやりとした影すら見えないんだろ?
こいつ。」
「まぁ、どうしようも無かったら警備班って選択肢もあるから。」
「無駄だと思うけど。」
「流船君!」
言魂を使うには言魂が見える事が大前提だと聞いた。だけど研究所【Wieland】で調べた結果、俺には化け物の文字は愚か、通常の人すらぼんやりと認識出来る筈の言魂すら全く見えなかった。空回りばかりで自分に憤りすら感じていた俺に幾徒は言った。
『出来ないなら脳を変えれば良いんだよ。』
ロボトミー手術でもする気かとちょっと引いたが、返って来たのはそれを上回る、シンプル且つ乱暴な方法だった。
『見えないなら見えるまで脳と体を使う』
…そんな無茶苦茶な案に付き合わされて何日目だろうか?確実に生傷増えてくんだが…。
「準備OKです。」
「流船ーまた怪我させんなよ?」
「…さぁ、知りませんよ。この人が避けてくれれば怪我しないんじゃないですか?」
「お前俺の事嫌いだろ…?」
「勿論です。」
初対面で何でこんなに嫌われるのか、最初は判らなかったが、聖螺の幼馴染だと聞いて何と無く合点が行った。
「じゃあ行くよ…コトダマ『発生』『弱電流』『誘導弾』ロード…。」
「…妬いてんのか。」
「なっ…?!」
「悪いね。」
「チッ…!コトダマ!『蕕音流船』『不可視』『重力解除』ロード!」
「単純だな、クソガキ。」
「黙れ!巨乳好きのバカ王子!」
「あぁ?!」
『装填完了』
「はい、訓練だからねー訓練。」
「うるせぇ!」
「もう!撃つからね?!」
「「アクセス!」」
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