[ジャッロ城のバルコニー]

 2人はバルコニーへと姿を移した。この場所は幼い頃から、なにかあった時に密会をする空間である。
 バルコニーから辺りを見渡せば、まず目に入るのが高くそびえ立つ塔の存在。
 この塔は城に併設する教会の鐘が備えられる設備であり、民たちがジャッロ城を象徴する際に用いる目印なのだ。

 そんな教会の鐘が在る塔を背景に、リアーナはバルコニーの柵へ凭れ掛かった状態で言った。

「やはり、カムパネルラの様子がおかしいとは思わぬか……?」

 密会の内容は大臣の事についての相談であった。

「はい、ぼくもリアーナ女王と同じ考えです……」レオナルドのほうもリアーナと同じく疑念を抱いている。

「レオナルドよ……二人きりの時、若しくは親友と一緒のときは硬い言葉を用いるでない。そちは妾にとって、たった一人の家族であるからな」

「わかったよ、リアーナ……」

「さて……大臣の容態についてじゃが、ライフリー? パーシャルデント? ポリグリップ? 知識豊富な妾でも、そのようなアイテムの名など聞いたことがない」

「そのアイテムたちを敢えてピックアップしたんだ……。確かにリアーナの言うとおり、カムパネルラさんは前とヒトが違って見えるね」

「じゃろう?。歳でヨタヨタじゃった者がお祈りしただけで、別人のようになる話などあり得ぬ。まあ、このセカイに復活の呪文が存在すれば無くもないがな……」

「うん……そんな古いシステム、ぼくたちのセカイに無いよね……」

「これを頼むのは心苦しいのじゃが、レオナルド。我が召使であり妹でもある、そちに頼みがある」

「どうぞ。君の願いは、召使のぼくが叶えてあげる」

「では言うぞ……大臣カムパネルラの動きをレオナルドが監視するのじゃ」

「…………」
この時、レオナルドは静かに頷いてリアーナの命を請けた。

「正直、妾は古くから仕える従者を疑うことはしたくない。じゃが、イルヴァルスに伝わる伝説の通りなら…………」

「闇の者がイルヴァルスへ堕りしとき、光の者がイルヴァルスに現れる。大陸の秩序をフォレスタ・キングダムが護り、ぼくたちの住む国が規律を護る。悪意ノ闇がセカイを覆い尽くす気なら、そうなる前に…ぼくは戦うよ……」

「無理をするでないぞ。万が一、レオナルドの身になにかあれば、妾は悲しみの渦に呑まれてしまう。それに他のミスティークの2人も、大臣の変化に気付いておるからな。そちは決して独りではないぞ」

「そうだねリアーナ……。ぼくたちには、頼りになる仲間がいるんだ……」

「そうじゃ、少し奇抜な者たちでも実力は本物じゃ。さてと……気を取り直したら、夕食の時間まで職務を遂行するぞ」

「そうだねリアーナ。早く女王の間に戻らないと、他の魔術師たちから怒られちゃうね」

「うむ、妾は規律を護りし魔導国家の頂点であるからな。その者が仕事をサボれば部下たちにストライキされてしまう。それに今夜は、メテ姫の誕生祝いでアイスボーンへひと狩りしに往くぞ!」

「ぼくは今夜できたら、ペットのレオンとポケモ……」

「ええいっ! ゲームはポケモ……ではない、モンハンじゃ!。忘れたのか? 幼き頃、助けてくれた者たちがしておったモンハンの素晴らしさをな」

「わかったよ…アイスボーンに行こう……」

 召使のレオナルドは、女王である姉からの圧力に負けてしまった。その力関係は、フォレスタ・キングダムでクエストを受けている双子の姉弟みたいである。
 お城のバルコニーで双子の姉妹が交える会話は、最終的に年相応で他愛のないものへとなっていた。

 もうすぐ夕陽が沈もうとする時間帯。ここで物語の舞台を、また別の場所に移すことにしよう。
 視点を移す場所は、イルヴァルス大陸の中央から西部に位置する、荒野の町ランブルウィードだ……。

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G clef Link 魔導国家の頂点7

次話
https://piapro.jp/t/_DsG

いちおうポケモ……とピアプロさんはコラボしてますからね↓。
http://blog.piapro.net/2019/12/k19122601.html
ネタが使いやすくて嬉しいです。

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投稿日:2020/02/19 01:03:27

文字数:1,593文字

カテゴリ:小説

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