リンやレンの歌だけでなく、ミクの歌や彼らの姉であるメイコの歌を聴いたり、兄のカイトの今練習中だという曲を聴かせてもらったりしているうちに、時が過ぎ、ふと見上げた空には東から夕闇が迫っていた。
楽しい時間は長ければ長いだけ、終わってしまう瞬間が寂しい。もう家に帰らなくてはいけない時間を示す時計を見あげて、あげはは針を巻き戻せれば良いのに。と思った。
「それじゃあ、帰るね。」
ばいばい。と画面の向こう、リンとレンに手を振ると、リンがまたね。だよ。と言った。
「またね。だよ、あげは。」
「おれたちは動くことができないんだ。おまえから会いに来てもらわないと、困る。」
そう言う双子にあげはは、うん。とくすぐったそうに微笑んだ。
「またね。」
そう言って、改めて手を振った。
見送りのために、玄関を出て門柱のところまで出てくれたおばあさんに、ありがとうございました。とあげはは頭を下げた。
「本当に楽しかったです。」
そう改めて言うと、おばあさんはそのしわだらけの手のひらであげはの頭を撫でた。
「歌、好き?」
その言葉に、こくん。とあげはは頷いた。
「皆の歌声も、おばあさんのピアノも、大好き。」
そう少しはにかむように言うと、おばあさんは心底うれしそうに微笑んだ。
「あげはちゃんも、何かやってみる?ある程度の楽器ならばわたしが教えられるし、あの子達と一緒に歌ってみるのもいいかもしれない。」
おばあさんの提案に、あげはは興奮で頬を赤く染めた。
聞いているだけで十分素敵なものに、自分も奏でることができたらどんなに楽しいだろう。一緒に感じることができたら。どんなに素敵だろうか。想像しただけで、期待にわくわくと胸はふるえ、どきどきと早鐘のように脈打つ。
「私でも、できる?」
ふと楽譜すら読めない自分自身のことを思い出して、あげはが不安げに小さく問うと、おばあさんは、何を言ってるの。と笑った。
「音を楽しむから、音楽っていうのよ。」
その言葉にあげはも笑顔になったときだった。
「草一。」
聞きなれた声が、横から響いてきた。
すう、と血が下がるような冷たい水をかけられた後のような、夢から醒めたような。そんな気分だった。
「草一、その人はだあれ?」
あげはが声の主のほうを振り向くと、優しい声で母親が微笑みながら立っていた。
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