拝啓、感傷よ何処に居るのです?
暗がりに紛れて見えないや


踊っては緋色が通り過ぎて去く
未だ此処には無い寂しさと知る
願ったのは確かに昨日だった、と
癒えない最期を夢に 雨曝し

身勝手で幸せな亡骸の言葉
あれだけ泣いても満たされない様
縋ったまま夜の四隅へだって、と
境目を探し溢れたいな

アザレアの樹蔭に忌を塞いだ
貴女は何処までも孤独なんだろう
永訣の谷に霧が満ちるとき
僕の旅は始まるだろう

空が哭いて また明日を迎える
号んだ愛は未だ遠い様だ
願い沈んでは朝の音
乾涸びた涙の戻らないを知る


迷っては朝靄に手を引かれて往く
悔いた痛んだで伸びる影の縁
蔵った明日はもう今日なんだった、と
切ない安堵は何処から

明後日の風が吹き溜まりに連なる
湧いた地団駄は裏山に消えた
濁った声の夢を取り去って、と
藍色の虚に焦がれたいな

滲み出す光に否を描いた
貴女が泣いた理由を知りたいだけだ
神託の谷に愛が満ちる頃
僕らの旅は終わるだろう

空が凪いで夜は零れていく
荒んだ問いと決めつけて捨てた
淡い冀望でも濡れて、ほら
朝焼けの空に咲いた彩雲が

空が咲いてまた朝を慕える
悼んだ恋の瀬はもう何処にも
笑みが浮かんでは止まないな
乾涸びた何かが消える音を聴く


何処にも居ないなら其れでも良いや
未だ消えぬ光のその中に

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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黎明の繭、慟哭の祀り

「れいめいのまゆ、どうこくのまつり」と読みます。葬送の歌。

閲覧数:251

投稿日:2019/06/25 20:46:52

文字数:570文字

カテゴリ:歌詞

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