ジレンマ

Aメロ
憂い？怒り？痛み？迷い？
出来上がった言葉なんかじゃきっと
誰も 何も 僕の 絡まった感情は著せない

Bメロ
救われない思いを形にしたくて
凡庸な僕は流行りの 歌に縋る
知らない誰かが残した歌詞(ことば)
ああ、なんだ。くだらないや

サビ
好きだった玩具(おもちゃ)が 壊れるたび 泣き喚(わめ)く
あの子が嫌いだったの
手が差し伸べられる結末を 疑いもしない
「わかるよ」だなんて頷いて慰めた
きみだって憐れむくせに
誰も愛せない誰からも報われない
独白パラノイア


２　Aメロ
地球上にある『幸せ』の数は
無論初めから決まっていて
天性の知恵と残酷な運で
『0』になるまで奪い合うもの

Bメロ
振り向けば僕のいる世界は今日も
尖った歌ばかりで溢れている
“天才”が綴る言葉ならきっと…
ああ、また。くだらないや

サビ
拙い作文を褒められてはにかんだ
あの子が嫌いだったの
前倣えだけで与えられる 視線じゃ足りない
「私も」だなんて 手を重ね た振りして
簡単に手放すくせに
誰も信じない自分すら庇えない
毒吐くメランコリ

Cメロ
「ねぇ、みてみて。ほら、ぼくのほうが
いちばん いたいんだ。すごいでしょ？」
あぁ、自分の 傷を叩き売って手に入れた
愛なんて 滑稽だ

サビ
欲しかった玩具が売り切れて駄々捏(こ)ねる
僕こそ何も変わってない
纏め切れないだけの思いを 免罪符にして
難解な言語と正当な道徳で
強くなった気でいても
何も探せない何よりも笑えない
贋作のプライド

サビ
抱いてた玩具を明日には忘れてる
その程度の執着で
諦めきれずいる優劣を 僕は追いかけた
消えたいと嘆いて 存在の意味探す
ちぐはぐを塗り重ねて
稚拙な御託で著した本心は
語り手のジレンマ