それはある夜。今日はライブの帰ってすぐの玄関にて。
「お帰りなさい、幸宏さん」
新婚の新妻のように彼を迎えるミク。可愛らしい青緑のフリルをあしらったエプロンを纏い、カレールーのこびりついたお玉を持ち、満面の笑みを浮かべている。
「ただいま」
それだけ言って、幸宏は靴を脱ぎ、ミクを避けてリビング兼自室へと歩く。
「ゆ、幸宏さん? もう少しでご飯できますから。今日はカレーライスですよ」
微かに幼さの残る、彼女の笑みの含んだ顔。しかし幸宏は彼女に振り向きもせず、冷たい視線と無機質な声色のみを放つ。
「夕食後話がある。大事な話をな」
「は、はあ……」
異質な雰囲気を漂わす幸宏に、彼女は少しばかり恐怖した。
〇 〇 〇
両者、完全沈黙の夕食後、ミクをテーブルの向かい側に正座させる。彼女は冷や汗を滲ませて恐そうな幸宏の瞳を見つめる。
「では、話をしよう。最初にお前に、しばらくしたらここを出るよう通告したはずだ。だが、お前は一向に出ようとはせず、住み着き始めている。どういうことだ」
「そ、それは幸宏さんの家がとても住みやすくて、パソコンもあるし……」
「ふざけるな!!」
幸宏の怒号にミクは肩を震わせて固くなった。
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