レンは血のついた服を着替え、王女の居る部屋へと赴いた。
今日のおやつはブリオッシュだよ。
リンに…大切な姉に、笑顔でそういう為に。
「リン、」
レンは部屋のドアノブに手を掛け、それを回した。
リンはレンの方を振り向き、パアッと笑顔になった。
「レン!」
リンはタックルまがいにレンに抱きつく。
レンは微苦笑すると、ブリオッシュを落さないように気をつけながら、おやつを持っていないもう片方の手でリンの綺麗な金髪を撫でた。
「リン。今日のおやつはブリオッシュだよ」
そして、リンに囁いた。
リンは抱きつきを解除すると、嬉しそうに笑って「やった!」と子供の様に喜んでいる。
「レンのブリオッシュは世界一よ!私が認めるわ!」
「有難うございます」
レンは、なるべく気持ちを悟られないように微笑んでそういった。
いつもの平和なおやつの時間。
それは、明日へは繋がれなかった。
―リンの笑顔さえ守れれば、それでいいんだ。
* * * *
「何よ……なんで……」
翌日。
王女は絶望に染まっていた。
国民が、王宮に攻め入ってきたのだ。目的は勿論、王女への復讐。リンは両手で顔を覆い絶望に暮れていた。
外では「王女に復讐を!」という声も聞こえ、怒鳴り声や叫び声も王宮内によく聞こえてきた。
聞こえてくる度、リンはビクッと肩を震わせ、絶望に表情を染める。
レンは、窓の外の景色をじっと見つめていた。
次々に警備隊を突破する、怒りに溢れた国民達。このまま王宮に辿り着くのも時間の問題だろうと思われた。
レンはリンの方を振り向く。リンは「レン?」と不思議そうにレンを見つめた。
レンは……ニッコリと微笑む。そして、口を動かした。
「王女様。貴方と僕の服を、交換してくれませんか?」
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