「動ける人は早く外へ!こっちだ!」
「羽鉦様!各ゲートで新装備BSを確認!このままでは避難した観客が巻き込まれます!」
「冗談だろ?!このまま居たら火が…!」

会場の火と、ゲート前のBS、まずい、このままでは奴等の思う壺に…!

「おい!【MEM】研究所の救護班だ!」
「これで霊薬が使えるぞ!」
「待っ…!」
「待って下さいっ!」
「スズミ?!救護班に居ろって…!」
「霊薬を使わないで!意識があって骨折程度なら人の身体は治せます!」

細くて、高くて、だけど凛とした声がパニック寸前のロビーに響いた。霊薬に走ろうとした人達が水を掛けられたかの如くシンと静まり返った。

「霊薬を使えばどうなるか皆さんだって知ってる筈…!治せる傷まで簡単に霊薬に頼ったら
 この先ずっと苦しむだけです!本当に重傷でないなら手当てを受けて!」
「…治療の妨害行為は止めて頂けますか?一刻も早く怪我人を…。」
「なら貴方達も手伝いなさい!歩けない人に肩を貸して!動けない人に声を掛けて!貴方が
 今取るべきなのは注射器なんかじゃない!目の前にある人の手よ!」

無機質な白装束の【MEM】の奴等がたじろいでいるのが判った。大した女だ…こんな状況で、この人数を相手にたった一人で…。

「中央ロビーに怪我人を集めて!意識がハッキリしている方は済まないが手を貸してくれ!」
「ま、待て!」
「あんたらも手伝え!余程の重傷者以外にそんなもんは無用だ!」
「わ…判った…!」
「羽鉦!スズミ!」
「騎士、こっちだ!応急処置を!」
「ああ!」

目の前の命をただ助けたいと思った、後ろには火の手があるのに、出口だって塞がれているのに、汗まみれで、必死で。

「おい!あんた等!北ゲートから外に出ろ!」
「使土!」
「皆!北ゲートへ!急いで走らないで!動けない人には手を貸して!順番に避難を!」
「例のBS倒したのか?」
「バラしてやった。」

新装備相手に無傷か…少々見くびっていたな。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -37.ただ強く、凛として-

※次ページにやれば出来る子がいます。金色狼本領発揮!

閲覧数:277

投稿日:2010/06/10 00:22:23

文字数:831文字

カテゴリ:小説

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  • 門音

    門音

    ご意見・ご感想

    おおっ!シド兄強えぇー!!
    確かにやればできる子だ!!…仕方ない。我が家での待遇を少し良くしてやるか…
    スズミちゃんもかっこいい!てか皆かっこいい!!(

    2010/06/10 21:35:06

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