「で…何してんだ?往来大声で全力疾走して。」
「したくてしたんじゃ…。痛っ!」
「ごめんなさい!私がちょっとやり過ぎて窓ガラス壊しちゃって…!」

何故目を潤ませて態度を変える…。と言うかそんな説明じゃ逆に引くんじゃないのか?俺は引く。

「…巻き添えか。」
「ありがとう!すっげーありがとう!判ってくれるんだな!」
「…申し訳ありません…。私のせいです。」

そう言うと逃げていた女は深々とこちらに頭を下げた。手入れの行き届いた長い髪に白い肌、生きた日本人形みたいだな。

「おい居たぞ!こっちだ!」
「このクソガキ共が!」
「げぇっ?!何か増えてる!!」

さっきは2人だった筈の追っ手は応援が来たのか6人に増えていた。時代劇じゃないんだから増やすなよ…!

「香玖夜さん、他人様に迷惑を掛けてはいけませんよ。さぁ、戻りましょう。」
「嫌です!絶対に嫌!」
「我が侭を言ってないで!ほら!」
「やっ…!」
「はい、そこまで。その子放しなさい、君達。」
「何ですか?貴方は…私を誰だと…!」
「さぁね、名刺でも出せば?」
「生憎ですが、香玖夜さんは私の婚約者なんですよ。貴方にとやかく言われる
 覚えはありません。」

何これ昼ドラ?俺とレンチ女は完全に置いてきぼりを喰らってポカンとそのやり取りを見ていた。そう言えばあいつ【Yggdrasil】の施設責任者なんだっけか、どう見てもただの怪しい奴なのにな。

「婚約者ねぇ…ちょっと歳の差あるんじゃない?この子見た所高校生だろ。」
「とにかく香玖夜さん、戻って来なさい。」
「嫌です!」
「…ああ、もう!ごちゃごちゃうるさい!えっと、君、おいで。」
「は、はい!」
「彼女は俺が預かる、文句でも請求でも好きなだけどうぞ、はい俺の名刺。」
「なぁっ…!!こいつ…!!」
「よ、止せ恭二!こいつ…いや、この方は…。」
「はい、解散、行くよ。」
「あ、あのっ…!」
「ああ、忘れてた。修理代。足りなきゃ遠慮無く。」

現生ばら撒いたし!やってみてぇ!!札束で顔ひっぱたくとか出来そう!!

「お兄さんすごーい!」
「そりゃどうも…。で?この子達は何なんだ?」
「いや、俺も初対面。」
「はぁ?!知り合いじゃなかったのか?!…ったく…。ごめんね、驚かせて。」
「…して下さい…。」
「ん?」
「私を貴方のお嫁さんにして下さい!」
「…はい…?」

卵から孵ったばかりの雛って確か初めて見た動く物を親だと思うんだよな…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -55.インプリンティング-

ひよこ可愛いよ、ひよこ

閲覧数:119

投稿日:2010/06/20 13:17:28

文字数:1,032文字

カテゴリ:小説

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    ご意見・ご感想

    読者のものです~
    「彼女は俺が預かる、文句でも請求でも好きなだけどうぞ、はい俺の名詞。」
    ↑の羽鉦さんのセリフの名「詞」→「刺」です。

    すいません、細かいところを気にしてしまって…

    2010/06/20 11:23:42

    • 安酉鵺

      安酉鵺

      おーほんとだーw

      過去のもすっげ誤字脱字多いんですけど前ページ修正だと二度手間になるので放置…ww(ヲイ

      2010/06/20 13:17:08

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