あおい焔をゆるく食んだ石灰灯は舞台の爪を琺瑯へと塗り替えて厚い緞帳の眸を灼きました
すべて支度が調うと暗がりはその裳裾を翻し乍宵の寝台に横たわるのでした
たっぷりとした天鵞絨の襞に転ぶ円い金の鈴もちりちりと謳い蝶のようにお辞儀をしました
伽藍堂のその場所にはたったひとつ古ぼけた椅子が佇んでいます
薔薇の呼気を吐き出す彼はあまい月のひかりを一身に浴びてひたすらに祈りを捧げているようでした
月は泣いています
藍昊から零れたまろくとうめいなひとしずくは果たしてどれほどあたたかいのでしょうか
もちろん彼にはわかりませんでした
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