知り合ったばかりの女の子抱き枕代わりにしました。その子に訳の判らない弾丸撃たれてドキドキしました。泣き顔に血迷ってキスしました。その現場をクラスメイトに目撃されました。…とも言えず。

「黙ってちゃ判らないよ?流船君。」
「流船君そう言う人だったんだ…。」
「いやぁ~バイト漬けの苦学生だと思ってたけどちゃっかりしてたんだなぁ。」
「学年トップで彼女持ち…お前はどんだけ持って行く気だよ!」
「判る判る、あんな所に居たらオオカミにもなるよな、うん。」
「だから違うって!」

今更何を言っても言い訳にしか聞こえず、そこ等中からヒソヒソくすくすと声がした。大体の内容は…、『転校生の女の子資料室に連れ込んで嫌がるのを無理矢理襲い掛かってた』って事になってしまったらしい。まぁ、事情知らなきゃそうだろうよ…。短時間で尾ひれ付いてるし。

「あ、あの…誤解で…その…。」
「大丈夫?伽音さん。こいつこんな見た目だけど空手とかやってて強いからさ。」
「サギだよね~、流船君は。女の子より可愛いのに…。」
「ち、違うの!私嫌がってないし、流船君も無理矢理じゃないし…!」
「芽結!取り敢えず黙ってろ!余計ややこしくなる!」
「芽結?」
「え?何、合意?付き合ってんの?」
「そうじゃ無くて…ああ~~~もう!!」

駄目だ、どんどんドツボにはまってる、このままじゃ俺は本当に只の痴漢男に…!と、間延びしたチャイムが鳴った。

『蕕音流船君、蕕音流船君、至急学園長室に来て下さい。繰り返します、蕕音流船君、
 至急学園長室に来て下さい。』

…学園長室?生徒指導室とか職員室じゃなくて?いきなりキングですか、死亡通知ですか、嫌な予感しかしません、ごめんなさいバックレて良いですか、ああ、ダッシュで逃げたい。

「うっわー…学園長室って…。」
「…俺が退学になったらお前のせいだバカスザク…。」
「いやぁ~、流船、悪い悪い、知り合いの生チューなんて初めて見たからさ~。」
「ブッコロス…。」

処刑台にでも行く様な気分でふらふらと学園長室へ向かった。道中で何やら色々言われた気がするけど右から左だった。半分やさぐれながら学園長室のドアをノックして中に入った。

「よっ!オオカミ君。」
「い…幾徒?!お前…何で…!!」
「武器渡しに来たらお前が女の子襲ったってすっごい噂になっててな~。いやぁ、
 笑った笑った。」
「蕕音君。」
「は、はい!」
「闇月所長は研究所【Wieland】から正式要請で来ているんだから、きちんと話を聞き
 なさい。それから…手ェ出すんなら見付からない場所でやりなさい、要領の悪い子は
 損するよ。じゃ、私はこれで。」
「は…?あ…あの…俺処分とかじゃ?」
「キス位で退学にしてたら生徒がカラになるよ、それに無理矢理でもなかった
 みたいだしね。」

学園長はクスリと笑うとあっさり部屋を後にした。色々含みのある言い方だったけど処分がなくて内心ホッとしていた。

「おーい?武器持って来たから選んでみてくんね?」
「…空気を読んでくれ…。」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

コトダマシ-9.よっ!オオカミ君-

この学園長実は砂音です。

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投稿日:2010/10/14 11:47:53

文字数:1,275文字

カテゴリ:小説

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